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4店舗の外食店を展開する大戸屋-香港のサービス産業市場(2)-

(香港)

中国北アジア課

2018年03月30日

連載の2回目は香港で日本食レストランを展開している大戸屋(香港大戸屋)を紹介する。香港大戸屋の仲田和也副総経理に、香港での取り組みや抱える課題について話を聞いた。

店舗数を拡大

Q.香港に進出したきっかけは。

    A.日本本社が全額出資した香港法人が店舗を運営している。中国大陸進出を見据えて2008年に香港に進出し、現在、香港島の太古、銅鑼湾および九龍地区の荃湾、茘枝角に計4店舗を展開している。当初出店した2店舗は、運営が軌道に乗る前に店舗物件の更新期限を迎えてしまった。2年後の契約更新の際に倍の賃料提示があったことや店舗スタッフの定着率の問題などもあり、一旦は閉店した。その後2014年に再進出した。

      値段が高くとも、おいしければ売れる

      Q.香港でビジネスをする上で、心掛けていることは。

      A.品質が第一である。食材の約半分は大戸屋のプライベートブランドで、日本から取り寄せている。そのため、香港でのメニューの価格設定は日本の1.8~1.9倍となっているが、値下げは品質を下げることに繋がるので、極力行わないようにしている。生鮮食品は香港の食品業者から入手している。

      Q.香港の顧客の特徴は何か。

      A.利用客の年齢層は比較的高めである。また、中国大陸からの観光客も売り上げに影響を与えており、旧正月や国慶節などの観光客の多い時は売り上げの1~2割を占める。(距離的にも中国に近い)荃湾の店舗はホテルが近くにあるため、中国人観光客の来店数の影響を受けやすい。

      Q.香港と日本でサービスに大きな違いはあるか。

      A.日本と香港のメニューに大きな違いはない。メニューは、鶏肉や豚肉、魚を使った料理ともにまんべんなく売れている。また、おいしいメニューは高くても注文が入る。高くても常に売り上げ上位5位以内に入っているメニューもある。

      一方、香港では、朝の営業は来客数が少なく採算が取れないため、行っていない。また、香港にはアフタヌーンティーの文化があり14時~18時がその時間にあたる。飲食店によっては、当該時間帯向けのメニューを提供するところもあるが、大戸屋はごはん処であるため対応は難しく、需要もあまりないため、アフタヌーンティータイム向けの特別なメニューの提供は行っていない。

      アフタヌーンティー同様、酒類の需要もあまりない。酒類が売り上げ全体に占める割合は1~2程度である。香港の店舗では、夜でも顧客の滞在時間は短く、荃湾店で1時間、太古店で30~40分程度である。

      持続的に来店してくれる常連客の開拓も積極的に行っている。

      提供しているメニューの約8割は日本と共通だが、香港人は新しい物好きでもあり、「おすすめメニュー」、「季節のメニュー」を加えるなどして対応している。

      物件契約の際には、先を見通した契約が必要

      Q.香港でビジネスを展開する上での課題は何か。

      A.家賃の高さと雇用の流動性の高さである。

      次の契約のことまで考えておかないと、利益が上がる前に撤退しなくてはならなくなる。利益を上げるには5~6年は必要となる。ただ漫然と契約を締結するのではなく、次回の契約更新時の家賃をある程度決定しておくなど、先を見越したオプション契約を締結することが重要である。

      香港では、店舗設置時の初期投資額は、日本の倍ほどになる。大戸屋は厨房などの設備も確保しなくてはならず、広いスペースが必要だが、あまりスペースを大きくしすぎると、家賃が高くなるほか、客を捌ききれなくなる。

      人の問題は、最近は安定してきている。一時期、募集をかけても応募がなく、採用しても長続きせず、厳しい状況が続いた。既存スタッフによる紹介や、インターネットでの募集を通じて、人を採用した。特に、ホールなどを担当する若い人を採用するには、インターネットが有用であった。一方、新聞や求人広告の効果は薄かった。香港政府が主催する人材採用イベントにも積極的に参加したが、飲食業では効果が薄いと思われる。

      他にも、日本で行われる店主会に店長クラスの香港人を参加させるなどして、従業員のモチベーションを維持している。

      日本の定食文化を香港に

      Q.今後、香港でどのように展開していくのか。

      最近利益を確保できるようになったので、今後3年で沙田、尖沙咀などに3店舗出店したいと考えている。香港はアジア域内への文化の発信基地でもあり、香港への出店を通じて他のアジア地域への発信も目指していきたい。人が集中する場所が立地としてはいい。

      今後は、商品や品質の管理を重点に管理して香港における日本の定食文化を広めていきたい。

      (カン・カレン、楢橋広基)

      (香港)

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