レットゴー、AI活用した中古品売買アプリ開発

(米国)

ニューヨーク発

2018年03月23日

レットゴー(本社:ニューヨーク市)は、近隣の人々と中古品の売買ができるアプリを提供している。中古品の売買を行う通販サイトはあるが、同社は人工知能(AI)技術を取り入れ、スマートホンで撮影した写真を即時に出品できるサービスを開発することで手続きを大幅に簡便にした。レットゴーに事業内容について聞いた(1月9日)。

商品のタイトルやカテゴリー分類を自動設定

2015年創業のレットゴーは、近隣の人々との間で中古品を売買できるアプリを提供する。中古品の売買を行う通販サイトは少なからずあるが、出品の際に手間や時間がかかるため、投稿の段階で断念する利用者も少なくなかった。このため同社ではAI技術を活用し、出品プロセスの簡便化に重点を置いたサービスを開発した。

レットゴーを利用すると、スマホで売りたい商品の写真を撮影・投稿するだけで瞬時に出品が可能となる。投稿された写真は、AIの画像認識技術で即座に解析され、最適なタイトルが設定されるほか、自動車や電化製品、衣料といったカテゴリーに自動的に分類される。商品や価格に関する情報は投稿後に変更可能で、「とりあえず出品してみる」といった手軽さも特徴だ。さらに、位置情報を取得し、近隣の利用者のタイムラインに出品状況を表示することで、マッチング精度を上げる工夫もなされている。

写真 アプリのホーム画面と投稿された商品(レットゴー提供)

簡便さや使いやすさを追求

(問)事業モデルを考えるに至ったきっかけは。

(答)中古品の売買を、スマホで簡便にできるアプリを開発したかった。他の分野と異なり、中古品の売買にはスマホに特化したアプリがなかったからだ。このため、AIなどを活用することで、新たなビジネスチャンスにつなげられると考えた。不要となった商品を提供したい人と再利用したい人をマッチングし、中古品市場を成長させることで、廃棄物の削減、環境負荷を抑える取り組みにも貢献できると思っている。

(問)提供するサービスの特徴は。

(答)売りたい商品をスマホで撮影、すぐに出品できるといった、簡便さ、使いやすさを追求している。レットゴーは、投稿された写真をAIの画像認識技術で即座に分析し、商品のタイトル設定やカテゴリー分類までの作業を自動的に行うことができる唯一のアプリだ。レットゴーを使って商品を投稿することは、写真を撮ることと同じくらい簡単だ。

また、利用者同士がチャット機能を通じて連絡を取り合うため、レスポンス率も高く、やり取りも短い文章で済む。これにより取引が成立する確率も高まる。これまでの通販サイトでは、出品者と購入希望者がメールで連絡を取り合うのが主流で、やり取の文章が長く、返信までの待ち時間が長いケースも多かった。

(問)主な利用者層と効果的だったマーケティング手法は。

(答)幅広い層を対象としているが、最も利用しているのはモバイル端末の利用に慣れ親しんでいるミレニアル世代だ。こうした層からの関心を引きつけるには、スマホでのやり取りを簡略にする必要がある。出品プロセスの簡便化、使いやすいサービスといった取り組みを徹底したことで、自然と口コミが広まり、利用者数の拡大につながった。2015年に公表したアプリはダウンロードが7,500万回に達し、月間アクティブユーザーも2,000万人に到達した(2017年9月時点)。

(問)電子商取引市場の現況、今後の発展可能性は。

(答)ここ数年、米国ではスマホを使った中古品売買が大きなトレンドとなり、電子商取引全体にとっても重要さを増している。モバイル端末の普及が進み、これまで以上にオンライン取引が行いやすくなったことから、可能性は拡大しており、今後も成長が見込まれる。

短期間におけるレットゴーの成長は、どれだけ巨大なビジネスチャンスがあるかを示している。レットゴーは、米調査会社コムスコアが発表した「米国で最も急速に成長しているモバイルアプリ」(注)において配車サービスのウーバーやリフトなどを抑えて2位になった。

写真 レットゴーの共同創業者(レットゴー提供)

(注)米調査会社のコムスコアが発表した「米国で最も急速に成長しているモバイルアプリ」は、月間利用者が500万人以上のモバイルアプリを対象として、2015年6月以降の利用者数の伸びをランク付けしたもの。

(樫葉さくら)

(米国)

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