2017年のネット普及率は55.8%に-シェア自転車や出前予約の利用が急増-

(中国)

北京発

2018年03月05日

中国インターネット情報センター(CNNIC)によると、2017年末の国内のインターネット利用者は前年比5.6%増の7億7,200万人に達し、ネット普及率は55.8%となった。うち、携帯端末によるネット利用者は97.5%を占めた。シェア自転車と出前予約の利用者が急増し、携帯端末による決済や行政サービスの利用率も高まった。

ネット利用者は5.6%増の7億7,200万人

CNNICは1月31日、第41回「中国インターネット発展状況統計報告」を発表した。それによると、中国のネット利用者は2017年末時点で前年比5.6%増の7億7,198万人で、ネット普及率は55.8%となり、世界平均を4.1ポイント、アジア平均を9.1ポイント上回った。ネットビジネス分野でのイノベーションの進化、オンラインとオフラインサービスの融合、行政サービスのオンライン化の加速がネット利用者の増加を促したとしている。

携帯端末による利用者は7億5,265万人となり、ネット利用者の97.5%を占め、2016年末の95.1%から2.4ポイント上昇した(図1参照)。デスクトップパソコン(PC)、ノートPC、タブレット端末による利用が減少し、携帯端末へのシフトがより一層進んだ。CNNICはサービスシーンの多様化、携帯端末の普及、モバイルデータ通信の大容量化に伴い、モバイル産業のさらなる発展が期待されると強調した。

図1 中国のインターネット利用者数の推移

シェア自転車の利用者が半年で2.1倍

ネットサービスの利用状況をみると、即時通信(インスタントメッセージ)、検索エンジン、ニュース閲覧など基礎的な用途の利用者は安定的に増加した(表1参照)。このほか、シェア自転車の利用者は2017年末時点で2億2,078万人に上り、同年6月末の2.1倍に急増した。出前予約の利用者も64.6%増の3億4,338万人と大きく伸びた。

表1 各種インターネットサービスの利用状況(2017年末)(単位:万人、%)
サービス 利用者数 利用率 前年比
即時通信(インスタントメッセージ) 72,023 93.3 8.1
検索エンジン 63,956 82.8 6.2
ニュース閲覧 64,689 83.8 5.4
動画 57,892 75.0 6.3
音楽 54,809 71.0 8.9
決済 53,110 68.8 11.9
ショッピング 53,332 69.1 14.3
ゲーム 44,161 57.2 5.9
ネットバンキング 39,911 51.7 9.2
文学 37,774 48.9 13.4
旅行予約 37,578 48.7 25.6
eメール 28,422 36.8 14.5
財テク 12,881 16.7 30.2
株・基金取引 6,730 8.7 7.2
微博(ミニブログ) 31,601 40.9 16.4
地図検索 49,247 63.8 6.7
出前予約 34,338 44.5 64.6
オンライン教育 15,518 20.1 12.7
タクシー予約 28,651 37.1 27.5
配車予約 23,623 30.6 40.6
ライブ中継 42,209 54.7 22.6
シェア自転車 22,078 28.6

(注)シェア自転車利用者数の前年比は未掲載。
(出所)第41回「中国インターネット発展状況統計報告」

特に携帯端末によるネットサービスの利用状況をみると、即時通信、ネットニュース、ネット検索の利用率が高かったほか、デリバリー、旅行予約、オンライン教育がそれぞれ前年比66.2%増、29.7%増、21.3%増と伸びが目立った(表2参照)。

表2 携帯端末によるインターネットの利用状況(2017年)(単位:万人、%)
用途 利用者数 利用率 前年比
即時通信 69,359 92.2 8.7
ネットニュース 61,959 82.3 8.5
ネット検索 62,398 82.9 8.5
動画 54,857 72.9 9.7
決済 52,703 70.0 12.3
音楽 51,173 68.0 9.4
買い物 50,563 67.2 14.7
ゲーム 40,710 54.1 15.8
電子書籍 34,352 45.6 13.1
旅行予約 33,961 45.1 29.7
デリバリー 32,229 42.8 66.2
オンライン教育 11,890 15.8 21.3

(出所)「第41回中国インターネット発展状況統計報告」

モバイル決済や行政サービス利用も普及

携帯端末による決済の利用者は5億2,703万人と前年比12.3%増加しており、モバイル決済の習慣が定着しつつあることがうかがえる。実店舗でのモバイル決済利用者の割合は2016年末の50.3%から65.5%に上昇した。農村部でも2016年末の31.7%から47.1%へ上昇している。

また、行政サービスの利用者は4億8,500万人に達し、ネット利用者の62.9%を占めた。また、アリババ集団のオンライン決済システムである「支付宝(アリペイ)」やSNSの「WeChat(ウィーチャット)」を通じた公共料金の支払いなど行政サービスの利用率は44.0%だった。

ネット関連上場企業102社、ユニコーン企業は77社

2017年末時点で中国のネット関連上場企業は前年比12.0%増の102社となった。業種別では、ネットゲームが最大シェアの28.4%、電子商取引(EC)、文化・メディア、ネット金融、ソフトウエア・ツールがそれぞれ14.7%、10.8%、9.8%、5.9%を占めた。ネット関連上場企業の時価総額の合計は66.1%増の8兆9,700億元(約152兆4,900億円、1元=約17円)で、うち大手3社の騰訊(テンセント)、アリババ集団、百度の時価総額はそれぞれ3兆1,000億元、2兆9,000億元、5,000億元となり、3社で全体の73.9%を占めた。

また、2017年末時点の中国のネット・情報関連ユニコーン企業(注)は77社となった。地域別にみると、北京市のシェアが41.6%、上海市が23.4%で続いた。業種別では、EC(シェア18.2%)とネット金融(15.6%)が多く、文化・娯楽(11.7%)、自動車・交通(10.4%)、スマート化されたハードウエア(6.5%)、オンライン医療(3.9%)、人工知能(AI、3.4%)の順だった。

ネットの普及でEC消費も拡大

また、ネットの普及に伴ってEC市場が拡大を続けており、2017年のネット小売売上額は前年比32.2%増の7兆1,751億元だった(図2参照)。

図2 中国のネット小売売上額の推移

国家統計局上海調査総隊が2017年に、上海に常住する18~70歳の人を対象に行った調査によると、73.0%が通信販売を利用したことがあると回答した。18~35歳の層はオンラインショッピングを積極的に利用しているのに対し、51歳以上の層はテレビショッピングの利用が多かった。通信販売を好む理由としては、自宅に商品が届く手軽さや時間の節約になること、実店舗に比べ安い価格で購入できること、品ぞろえが豊富であることなどが挙げられた。同調査によると、上海における2017年のECを含む通信販売での利用者1人当たりの平均支出額は月額約880元で、2016年の同市の1人当たり平均消費額の28.2%を占めた。

(注)評価額が10億ドルを超える未上場企業。

(劉元森、張敏)

(中国)

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