完成品輸入規制で自由販売証明書の提出を義務に

(アルジェリア)

パリ、ラバト発、中東アフリカ課

2018年03月27日

政府は1月1日、完成品の輸入において自由販売証明書の提出を義務付けた。急な制度変更により、アルジェリアに製品を輸出する日本企業にも影響が出始めており、ジェトロや政府関係機関に対応をめぐる問い合わせが寄せられている。

急な制度変更は輸入制限措置の一環か

アルジェリア商業省は、貨物の輸入者が国内商業銀行で信用状(L/C)を開設する際に、製品生産者(輸出者)の原産国・輸出国当局が発行する「自由販売証明書(Free sales certificate)」の提出を義務付ける通達を出し、1月1日から施行した。自由販売証明書は、輸出産品が発行国の市場で規制を受けずに流通している事実を証明する書類を指し、流通に当たり順法性、安全性、品質が担保されていることを証明するもの。模造品や粗悪品から消費者を守ることを目的とした措置とされているが、実態はアルジェリアの貿易収支悪化を受けた輸入制限措置とみる向きもある。

新たな措置の突然の導入には現地輸入業者からも反発の声が上がったことから、政府は同措置の適用範囲を「輸入時の状態で市中流通が可能な製品」に限ると変更、加工・組み立て用の部材や原料は対象外となった。「自由販売証明書」のフォームは、アルジェリアの銀行協会が提供している。

日本国内での証明書発行手段は模索中

証明書のひな型には原産国・輸出国の「当局」として商工会議所が例記されており、日本からアルジェリアに該当製品を輸出する際には日本の商工会議所、日本企業の海外拠点から輸出する場合は拠点の所在国にある商工会議所で証明書を発行してもらう必要がある。

これについて東京商工会議所にヒアリングしたところ、3月現在、アルジェリアの様式での当該証明書は発行していないとのことだった。同商工会議所では基本的に原産地証明書以外の証明書は発行していないが、別のケースとして、企業が当該証明書の発行主体となって作成したものに、「サイン証明」というかたちで署名したケースはあるという。実際、当該証明に加えて国際規格の品質マネジメントシステム認証(ISO9001)およびエコテックス規格の証明の3点を提出して、L/C開設に成功した企業もあるそうだ。しかし、一律にこの手法を提唱しているわけではなく、確実なL/C開設方法ではない。実際には「サイン証明付きの自己宣言証明では無効」とアルジェリア国内銀行に受理を拒否される事例も報告されていて、今後の対処について経済産業省および在アルジェリア日本大使館とも協議中だという。

他方で、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイや東南アジア、米国、欧州、中国などでは現地商工会議所や政府機関が新たなひな型に沿って証明書を発行しているもようだが、証明書の記載内容に関する発行団体の免責をうたったものはアルジェリア当局に受理を拒否される事例も出ており注意を要する。

なお、日本から輸出する食品については厚生労働省(地方局)、飼料、ペットフードおよび飼料添加物については農林水産省、医療機器については特定非営利活動法人の海外医療機器技術協力会(OMETA)、化粧品については日本化粧品工業連合会がそれぞれ自由販売証明書を発給しており、アルジェリア向けにもこれらが利用できる可能性がある。

(兒玉高太朗、井上尚貴、清水美香)

(アルジェリア)

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