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アフリカ市場開拓、第三国企業との連携探る

(欧州、アフリカ)

ロンドン発、中東アフリカ課

2018年03月30日

ジェトロ・ロンドン事務所は3月22日、ロンドン市内で「アフリカにおける第三国企業との連携可能性」と題するセミナーを開催した。アフリカでビジネスを展開する欧州企業8社を招き、農業、小売り・消費財、インフラの3分野に分かれて、講演とパネルディスカッションを行った。在ロンドンの日系企業関係者を中心に約35人が参加した。

日本の農業技術が連携の魅力

セミナーでは欧州企業8社が登壇し、農業、小売り・消費財・インフラの順にアフリカビジネスの実態と日系企業との連携可能性について議論を展開した。農業分野では3社が登壇した。スイスの農業投資会社イノックス・キャピタルの最高経営責任者(CEO)ナビル・アブドゥル・マッシ氏は、「アフリカの農業生産は欧州市場への輸出が前提にあり国内でのバリューチェーンが構築されてこなかった。それが、所得向上に伴い国内消費者向けの市場が台頭した。この新たな需要を取り込むために次々と資本投資が行われ、大きな変化が起きている」とした。

種子販売を手掛けるポルトガルのア・セメンディラ・デ・アリビオ・ディアス・イ・イルマオンの社長ペドロ・ディアス氏は、アフリカの土地は肥沃で農業は高い潜在力を持つと強調した。一方、課題として土地取得後の住民との交渉を挙げ、整地のために土地購入の何倍ものコストがかかった例を示した。タネの投入については、欧州とタイプが異なるため研究開発のプロセスが必要だが、日本企業から調達することもあり幅広い種類のタネを提供できる点が連携の利点だとした。

農業機械を扱うポーランドのウルススの副社長マイケル・ニズルゴルスキ氏は、市場参入における最大の問題はデータや統計の欠如だとし、現地パートナー企業や投入商品の決定にあたっては入念で細部に渡る現地調査が不可欠だとした。日本企業との連携については、日本製の農業機器は現地でも良く知られているが、高い水準を誇る農業技術においても導入の余地はあるとし、連携への期待を示した。

在外アフリカ人の活用もカギ

小売り・消費財分野で登壇した2社は、ともに人口増による消費市場の急速な拡大を強調した。市場調査などを手掛けるオランダのモジョ・アフリカの創業パートナーのアンドリュー・オニェアバコ氏は、「人口増に加え、モバイルマネーの普及に見られるようなテクノロジーの導入がアフリカの小売り業界にも革新的な変化をもたらしている。人とモノの接続性や金融へのアクセス向上をもたらし消費市場を加速度的に成長させている」と強調した。

スイスのジェンベ・コミュニケーションのカントリーマネジャー(英国)を務めるパスコリーナ・モーッティーは、「ビジネスチャンスを掴むためには統計がなく実態がみえない低所得者にどう商品を投入するかがカギだ。市場調査には先行投資が必要で、かつマーケティングの基礎に立ち返る必要がある。例えば電気へのアクセスがない、英語ができない、ラジオを情報源とする、といった消費者を相手にする場合、先進国とのマーケティングとは全く異なる」と述べた。現地の出身だが在外に居住するいわゆるディアスポラの人材活用にも触れ、「現地の言語、文化、市場への理解があり市場参入の戦略策定で戦力になる。加えて、現地で問題が発生した場合にいち早くそれに気がつき、適切な対処法を提示できる」と利点を指摘した。

急拡大するインフラ市場での連携に意欲

インフラ分野では登壇した3社の間で、現地のビジネス環境が改善されているとの共通の認識が示された。スイスのエナジー・コンサルティング・グループのパートナーであるダビド・オーザン氏は、官民パートナーシップ(PPP)事業を例にとり、「PPPはアフリカのインフラプロジェクトで主流になりつつある。これまで現地政府とのビジネスでは意思決定プロセスで不透明な部分がみられることもあったが、PPPが標準化されるにつれガバナンスが改善されている。政府調達プロセスでは法的枠組みにのっとり透明性が高まっている」と紹介した。

フランスの建設大手ブイグ建設のビジネス開発部長アラン・デカン氏は、現地調達について「現地企業との協業や現地人材の確保の面で問題になったことはない」と明言し、「選定の際は慎重を期す必要はあるが必ず要件を満たす現地企業は存在する」と強調した。これに対して、英国のロジスティックス会社ディンツ・インターナショナルの最高経営責任者(CEO)ジェフリー・ドマウベリー氏は、「当社は異なるアプローチをとっている。現地企業に一定の割合の資本参加をしてもらい直接利益を享受できる状況にすることでプロジェクトに対する貢献への動機付けを行っている」と明かした。

日系企業との連携については3社とも前向きに検討しているとし、なかでもデカン氏は、「アフリカビジネスでは経験がモノを言う。当社は経験値も豊富で、かつ世界中のプロジェクトで日系企業との連携実績を有する」として、インフラ需要が急速に拡大するアフリカ市場での具体的な連携に意欲を示した。

写真 セミナー会場の様子(ジェトロ撮影)

(佐藤丈治、高崎早和香)

(欧州、アフリカ)

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