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高裁が不動産関連新法を妥当と判断-新法の施行で変化する不動産開発(1)-

(インド)

ムンバイ発

2018年02月01日

インドの地場デベロッパーは、不動産の開発・販売規制に関する法律(2017年5月1日施行)に対し、同法施行以前から建築中だった物件についても工期遅延による罰則の対象とする規定が法の遡及(そきゅう)適用に当たるなどとして無効を訴えていた。ボンベイ高等裁判所は2017年12月、この訴えを退ける判決を下した。同法とその運用や影響について2回に分けて報告する。前編は法律の概要ならびに州ごとの違いについて。

規定の「遡及適用」の妥当性を認める

地場のデベロッパーらは、不動産の開発・販売規制に関する法律〔Real Estate(Regulation and Development)Act, 2016(通称:RERA)〕の規定の一部が、施行以前に締結していたデベロッパーと購入者との売買契約をほごにするもので、同時に施行以前に建築を開始した物件の工期遅延でも罰則が科されることとなり遡及処罰に当たると、ボンベイ高裁に法の無効を求め提訴していた。具体的には、購入者から納入された金額の70%を当該プロジェクトのための土地購入費用と建築費用に限るという規定や、工期の遅延に対する罰則を法の施行以前から建築中だった物件にも適用するという規定が争点となっていた。しかし、2017年12月6日にボンベイ高裁はこの訴えを退け、RERAには法的妥当性があるとの判断を下した。

売り手偏重市場や多発する工期遅延の是正を目指す

RERAは、これまでの行き過ぎた売り手優位の不動産市場や不透明な商慣行の是正、そしてインド中で多発する工期の大幅な遅延を解消する目的で制定された。例えば、現地報道(「タイムズ・オブ・インディア」紙2017年11月13日)によると、「2017年11月時点でインド全体50都市において少なくとも62%の住宅プロジェクトが工期超過状態にあり、集合住宅プロジェクトのほぼ30%が2年以上工期を超過している」という。このような状況を是正するために制定されたのがRERAだ。

全州で共通するRERAのポイントとしては、以下の規定が挙げられる。

○原則500平方メートルあるいは8世帯以上の建築:プロジェクトが行われる州のRERA当局(州が設立した担当組織)への登録義務化

○販売代理店(法文ではReal Estate Agents):州のRERA当局への登録義務化

○工期順守の徹底と罰則規定

○購入者から得た資金の使途の制限

RERA運用に州ごとで大きな違い

RERAは中央政府が制定したものだが、実際には州ごとにRERA当局が設立され、その運用・執行に当たることになっている。その権限となる法律は同一だが、州ごとに規則・規制の詳細が違っており、運用状況も州ごとで異なる。米国不動産会社CBREの現地法人の調査によると、2017年12月現在で施行済みの州が18、施行に向け準備中の州が10となっている。

また、前出のCBRE調査によると、例えばマハラシュトラ州(以下、MH州)が建築計画図面や販売者情報まで含んだ詳細なプロジェクト内容を州RERA当局のウェブサイト上に公開しているのに対し、ウッタル・プラデシュ州では登録証明など限定的なプロジェクト内容のみが公開されている。加えて、MH州においては、RERA当局へのプロジェクト登録が完了していない限り、物件の広告も禁じられている。

登録件数の大半を占めるMH州

これまで、インドにおいて不動産開発に関する法規制は未整備であり、例えばMH州では工期の遅延に関する規定が存在していなかった。MH州のRERA当局のトップは「RERAへのプロジェクト登録は2017年12月現在、インド全体で約2万件で、そのうち約1万4,000件がMH州での登録だ」と述べるとともに、プロジェクトに対する苦情申し立ての受け入れ体制も既に整えている点に触れ、「1,000件以上の申し立てを受理し、そのほとんどを友好的に解決している」とし、今回の高裁判決を歓迎している(「ビジネスライン」紙2017年12月8日)。

他方、RERAはデベロッパー側にもメリットがあるということが、最近理解され始めている。例えば、RERAに登録されたプロジェクトは、規定により計画が事前に公開され、工期が明確で建築中の資金繰りも担保されていることから、プロジェクトの資金調達時において金融機関からの反応も良いという。

(比佐建二郎)

(インド)

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