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通過貨物の滞留期間は30日以内に短縮-新関税法のポイント(2)-

(タイ)

バンコク発

2018年02月09日

2017年11月13日に施行された「2017年関税法」では、通過(トランジット)および積み替え(トランシップメント)に関する規定が明確化された。通過・積み替えを目的に、タイ国内に貨物を滞留しておける期間が従来の90日から30日に短縮されたほか、国境を通る陸上通過貨物の輸送には国際的合意が必要となった。

通過・積み替え関連規定をまとめて記載

タイでは通過(トランジット)、積み替え(トランシップメント)については、旧法(1926年関税法)の2014年改正により初めて明確化が図られたが、改正で記載されたのは通過・積み替えの定義のみで、関連規則については税関通達No.2102558(通過)、No.2112558(積み替え)に分散していた。その点、2017年関税法では、通過・積み替えの定義を第4条で示し、関連規定を第4章(通過、積み替えおよび未通関品)にまとめて記載している。

今回の改正で大きく変更があったのは、タイ国内の貨物滞留期間だ。通過・積み替え貨物を国内に置いておける期間は従来90日以内だったが、2017年関税法では入国後30日以内に短縮された(第4102条、表参照)。短縮の理由についてタイ関税局法務部のブッサラカム氏は、欧州などの事例を参考にしつつ、タイの国土面積や物流環境を総合的に勘案した結果と述べ、ビジネス実態上も適切な期間との認識を示した。

表 通過・積み替え貨物に関する主な規定
項目 記載内容 該当条文
旧法(1926年関税法) 新法(2017年関税法)
積み替え・通過貨物のタイ国内滞留期間 90日以内 30日以内 102条
通過貨物の保証金額 200万バーツ 100万バーツ 税関通達 139/2560
陸上国境を経由する通過貨物の取り扱い 制限なし(一定の条件を満たせば可) 国際的合意に基づく場合に限る 102条
国際的合意がない場合の陸上国境通過貨物の取り扱い GATT第5条を援用 税関通達 139/2560
未通関品の取り扱い 以下いずれかを適用
  • 税関職員による競売、破壊
  • 他国への再輸出を命令
108条

(注)通達139/2560は、タイ・ラオス間の通過貨物輸送には適用されない。
(出所)関税法各改訂版、通達など

なお、30日間の滞留期間内にトランジット先に貨物を移すことができなかった場合、当該貨物はタイの財産と見なされ、競売や破棄される可能性が生じる。輸入者はこうした可能性が疑われる場合、2017年関税法の第14条(3)に従い、貨物をタイ国内に入れた日までさかのぼり、当該時点の関税率で通常の輸入通関を行うか、または税関通達No.139/2560に従い、出荷元もしくは第三国へ貨物を輸送する必要がある。なお、いずれの対応も、あくまで30日以内に行う必要がある点に留意が必要だ。

陸上国境経由の通過貨物は一時的にGATTを援用

2017年関税法では、トランジット輸送について、第102条で記載されている「国際的合意」の範囲も焦点となった。具体的には、第102条の第3段落に、「陸上国境を経由するトランジット行為については、国際的合意がある場合のみ許可される」とあり、2国間合意のあるタイ・ラオスを除く、カンボジア、ミャンマー、マレーシアとの陸上トランジット輸送の可否が不明確となった。

そのため、これに対応するかたちで出されたのが「トランジットのための電子通関手続きに係る税関通達(No.139/2560)」で、同通達では、2国間合意を持たない国との間のトランジット輸送についてはGATT第5条(通過の自由)を一時的に適用するとして、細則を定めている。具体的には、事業者の要件や申請手続き、トランジット申告手続き、モード別(海路、空路、陸路)手続き、禁止事項、税関による救済措置などが定められており、この通達により、ラオス以外の国との陸上トランジット輸送を行う手段が確保されているといえる。

他方、ラオスとタイの2国間トランジット手続きについては、別途「貿易輸送に係るタイ・ラオス間合意に基づく陸上トランジットのための税関手続きに係る税関通達(No.141/2560)」で規定している。今後、カンボジアやミャンマー、マレーシアとも2国間合意が結ばれれば、それぞれの合意に対応する通達が別途作られ、その後、先述の税関通達No.139/2560は破棄される見込みだ。タイ関税局法務部によると(2017年12月時点)、カンボジアとの協定交渉は完了し、国内手続きに移るとのことで、早期の2国間合意の発効が期待される。

(蒲田亮平)

(タイ)

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