エチオピア正教の「断食」始まる、1年で最長の55日間

(エチオピア)

アディスアベバ発

2018年02月15日

2月12日からエチオピア正教の「断食」が始まった。期間は55日間で、エチオピアの復活祭(イースター、4月8日)前まで続く。この間、信徒は肉や卵を口にできず、1日1食の菜食者となる。出張などで訪れる場合は、現地関係者との会食などに気を付けたい。

信徒は1日1食の菜食者に

当地では、1億人近い人口のほぼ半数はエチオピア正教で、日頃から週2日(水曜と金曜)は肉や卵、乳製品など動物性タンパク質を摂取しない「断食」がある。長期の断食はエチオピアのクリスマス(1月7日)前など、宗教的な祝祭日前に数十日の単位であり、一般に13歳から参加する。年間の断食は合わせて200日を超える。

2月12日から始まった断食は1回の期間としては最長で、エチオピア正教徒は55日間、1日1食の菜食者となる。通常、午後3時まで飲まず食わずで、厳格な人だと水はおろか唾さえのみ込まない場合もある。一方、欧米への留学経験がある人など、エチオピア正教徒を自認していてもさほど気にせず食事する人もいる。

取引先との会食やレセプションでは配慮が必要

断食期間中は現地取引先との面談でも、相手が断食をしている可能性を考慮して、念のためビジネスランチは控えた方がよいだろう。また、不特定多数を招くレセプションを夕食時に開催する場合も食事に配慮する必要がある。人口の半数がイスラム教やプロテスタントなどの信徒なので、断食用とそうでないメニューをそろえる必要がある。

期間中もホテルやレストランでは通常どおり肉料理や乳製品が提供されるので、エチオピア正教徒でなければ飲食に特に問題はないが、食材の流通が減るため、鮮度が落ちている可能性はあるかもしれない。

(関隆夫)

(エチオピア)

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