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ブレグジット交渉、第2段階の協議始まる-移行期間中の権利・義務をめぐる溝が浮き彫りに-

(EU、英国)

ブリュッセル発

2018年02月13日

欧州委員会のミシェル・バルニエ首席交渉官は2月9日、第2段階に移行して初めてとなる、英国のEU離脱(ブレグジット)交渉を終えて記者会見に臨んだ。今回の交渉においては「移行期間」「離脱協定をめぐる司法管轄」「北アイルランド国境問題」に重点が置かれたが、ブレグジット以降の英国に対する司法管轄権をめぐり、双方の見解の相違が浮き彫りになった。移行期間中の英国がEU法に違反した場合や「離脱協定」の解釈をめぐる紛争解決において、英国がEU司法裁判所管轄権に服するのか否かが焦点となる。他方、この論点は今後のブレグジット交渉の長期化につながる、新たな火種としても懸念される。

「移行期間」や「離脱協定をめぐる司法管轄」などに重点

欧州委のバルニエ首席交渉官は2月9日、ブレグジットをめぐる交渉を終えて記者会見を開き、6日からブリュッセルで開催された英国政府との交渉の結果について総括した。なお、予定されていた英国側からの「EU・英国の将来関係」に関する新たな見解については示されなかったと、同首席交渉官は語ったが、ブレグジット以降のビジネス環境の激変を緩和するための「移行期間」「離脱協定をめぐる司法管轄」「北アイルランド国境問題」について重点的に協議したことを明らかにした。

まず、英国側が2018年3月に「移行期間」について合意することを主張していることを、バルニエ首席交渉官は明らかにした。しかし、同首席交渉官は、EU側が英国の求める移行期間に同意する前提として、移行期間中、(英国がEU加盟国として順守してきた)EUの法体系の延長適用を英国が受け入れる必要がある、との考えを示した。

バルニエ首席交渉官は、移行期間をめぐる協議では、EU側が重視する複数の項目で、英国側と認識の溝を抱えていることも認めた。具体的には、以下のとおり。

◇双方市民の権利保障

英国政府は移行期間中の「人の自由移動」を完全に保障することを認めているが、移行期間が終了した場合、移行期間中に入国した市民に対して、ブレグジット以前に入国した市民と同等の権利を拡大適用することには難色を示している。

◇新法適用

英国政府は、移行期間中にEUが定めた(あるいは移行期間中に発効する)新たな法令について、英国として同意できない場合、拒否権を求めている。

◇司法・内務問題

英国政府は、移行期間の終了以降、EUの政策枠組みから離脱することになるが、有益なEUの政策については受け入れる考え(選択的適用)も示している。

司法・内務関連のEUの枠組みでは、EU専門機関である欧州警察機関(ユーロポール)を通じた犯罪情報共有や捜査協力(2016年12月26日記事参照)などがあるが、EU側はこれを「いいとこどり」として、英国に対するこれらの協力継続に難色を示す可能性が高いとみられる。

移行期間中の司法管轄権で見解の相違

バルニエ首席交渉官はEUと英国の見解の相違について、「率直なところ、驚きを禁じ得ない」とコメントし、こうした見解の隔たりを抱えたまま、移行期間について合意することはできない、との厳しい姿勢も示した。

欧州委は2月7日付で、移行期間に関わる離脱協定のポジション・ペーパー(テキスト案)をEU27カ国に対して送付、これらの承認が得られ次第、英国政府や欧州議会にも提案するとし、基本的には英国政府が求める移行期間の導入に応じるとしている。しかし、この移行期間中に、仮に英国がEU法に違反した場合の司法管轄権を明確にすべきだというのがEU側の基本認識だ。またバルニエ首席交渉官は、「離脱協定」の運用・解釈に関わる見解の相違や法的紛争が生じた場合の解決手段として、EU法やEU司法裁判所(CJEU)の管轄権を認めるべきことを英国に対して示唆しているとみられる。ただし、同首席交渉官は、これについての「英国側の理解は得られなかった」ことも認めており、今後の協議の長期化につながることが懸念される。

(前田篤穂)

(EU、英国)

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