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不動産市場の改善で低くなる外資参入の障壁-新法の施行で変化する不動産開発(2)-

(インド)

ムンバイ発

2018年02月02日

2017年5月に施行された不動産の開発・販売規制に関する法律は、インドの不動産市場に大きな影響を与えている。連載の後編は、同法と並行する税制改革や外資規制緩和との関連から市場動向を概観する。

税制度の改革も不動産市場に影響

不動産の開発・販売規制に関する法律〔Real Estate(Regulation and Development)Act, 2016」(通称:RERA)〕は、これまでの行き過ぎた売り手優位の不動産市場や不透明な商慣行の是正、そして多発する工期の大幅な遅延の解消を目的として制定されたもので、不動産市場に変革をもたらしつつある。同様に、2017年7月に施行された物品・サービス税(GST)もまた、不動産市場に大きな影響を与えている。GSTの税率は、建築中物件は12%だが、完工後(即入居可能)物件は0%となっている。これまでデベロッパーは建築途中の物件を市場で販売し、そこから得られた資金を別のプロジェクトに流用するなどして、プロジェクト数をいたずらに増やしてきたが、この慣行が工期遅延の温床となっていた。しかし、RERAやGSTの施行後、これまでの建築中物件優先の販売から完工後物件の販売へ選好が移りつつある。

不動産開発部門の外資規制緩和を拡大

RERAの施行は、インド政府が不動産開発分野において「消費者保護」「透明性確保」といった姿勢を明確にしていることを意味している。このことは、外資企業のインド市場への参入障壁となっていた不透明な商慣行や、多発する工期の遅延を大きく改善するものといえる。実際、以前から政府は開発分野における外資規制の緩和を進めており、政府ガイドラインに従うことを条件に、(不動産「販売」を除く)一定規模以上の土地開発・建物建設を伴う不動産業については、自動認可で100%まで外資出資が認められる。さらに、2018年1月の連邦議会では、不動産「仲介」に関しても自動認可で100%まで外資出資を認める法案が承認された。

現地紙「ビジネス・ライン」(2017年12月19日)によると、世界的な機関投資家らがインドのデベロッパーへの投資を、出資、合弁会社設立など多様な形態で進めており、その背後にRERAとGSTの影響があると指摘されている。2017年5月以降、数多くの外資系企業が関わるプロジェクトがインド国内で進められている。ドイツの保険大手アリアンツがシャプールジ・パロンジ・グループと提携して商業不動産への投資を行うとしている。米国の世界的な不動産投資管理会社ハインズは、地場デベロッパーのタタ・ハウジング・デベロップメントが進める高級住宅開発事業への投資を発表している。また、住宅開発においても、中国の建設大手CNTCがベンガルールを本拠とする地場不動産開発企業ゴールデン・ゲート・プロパティーズと合弁会社を立ち上げる協定を結んでいる。

高い住宅賃料が背景にある市場の活況

インドにおける不動産投資の活況、増加する外資参入の背景には継続的な賃料上昇があるとみられる。2017年5月にドイツ銀行が発表した世界主要都市の生活環境を調査したレポートによると、過去3年の平均的な2ベッドルームの都市別賃料上昇率は、デリーが56%、ムンバイが21%、ベンガルールが16%となっている。インド市場への外資系デベロッパーの参入においては、高価格帯の物件に関わるものとなることが、これまでの傾向から予想される。野村総研の報告によると、インドで始動する新たな建築プロジェクトのうち、高価格帯物件の全体に占める割合が最も高い地域はムンバイとなっている。

(比佐建二郎)

(インド)

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