条文の明確化を図る、細則は未施行-新関税法のポイント(1)-

(タイ)

バンコク発

2018年02月08日

「2017年関税法」が2017年11月13日に施行された。従来の関税法を大きく見直し、度重なる部分改正で複雑化していた構成を整理したほか、定義の明確化を通じて透明性の向上も図られた。ジェトロがバンコクで12月20日に実施したセミナーの内容も踏まえ、新しい関税法のポイントを3回に分けて報告する。

構成を整理し、条文関係も明確化

旧関税法は1926年に施行されたのち、直近の2014年を含めて24回にわたり部分改正が行われた結果、(1)構成の複雑さ、(2)条文関係の曖昧さ、(3)厳し過ぎる罰則が課題となっていた。

例えば、関税の還付申請手続き・期間については1926年関税法の第10条で規定される一方、輸出用製品の原材料輸入に係る税還付制度は「1939年改正部分」第19条bis(BIS-19条)に記載され、おのおの個別に参照する必要があった(注)。これが、2017年関税法では第2章第3節(関税の還付)にまとめて記載された。

また、明確な罰則が定められていない関税法違反について、従来は「1954年改正部分」一般規則の第119条で「一律5万バーツ(約17万5,000円、1バーツ=約3.5円)を超えない罰金の対象」とのみ記載され、内容が曖昧だったが、2017年関税法では第9章下の262の条文に個別に分類、記載され、内容も現在のビジネス環境に合わせて見直された(添付資料の表1参照)。

細則導入までは既存の関連法令を適用

他方、2017年関税法の施行後も引き続き作業が進められているのが施行細則の整備だ。今回の法改正に伴い、108に及ぶ細則(財務省令、関税局布告など)が導入される見込みだが、ジェトロが実施したセミナーで、タイ税関法務局のブッサラカム氏は、72の細則が準備中だと説明した(添付資料の表2参照)。

なお、準備中の細則の取り扱いについては2017年関税法の第262条に記載がある。具体的には、2017年関税法の施行日から180日以内に関連法令を整備すること、関連法令の整備までの期間は、関税法の条文に矛盾しない限りにおいて旧法の細則を適用すること、とされている。つまり、2017年関税法が施行された11月13日から起算すると2018年5月12日が180日目に当たるが、それまでに新しい関税法の細則が順次関税局のウェブサイトに掲載される予定となっている。法令の内容や運用を企業にとって分かりやすいものとするため、細則の早期の公布・施行が望まれる。

(注)原材料の輸入に係る税還付制度とは、原材料を輸入して加工品を輸出をする際、輸出日から6カ月以内であれば当該原材料の輸入関税の還付申請を行うことができる制度。

(蒲田亮平)

(タイ)

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