南部・南東部に集積する輸送用機器部品の黒字企業数が減少-マツダとトヨタの米国新工場、アラバマ州に決定-

(米国、日本)

米州課

2018年01月11日

ジェトロが1月11日に発表した「2017年度米国進出日系企業実態調査」によると、2017年の営業利益見込みに関する質問で、南部・南東部に集積する輸送用機器部品(自動車/二輪車)企業の黒字企業数が減少したことが分かった。2017年の米国新車販売台数(速報値)が前年比1.8%減となったことが売り上げの減少につながった。ただし、2018年に回復を見込む企業が4割を超えるなど業績悪化は短期的なものになりそうだ。米国時間1月10日に、注目されていたマツダとトヨタの共同新工場がアラバマ州に決まったことが発表されるなど、自動車産業における米国の重要性をあらためて示した。

2017年の新車販売台数の落ち込みが影響

ジェトロが1月11日に発表した「2017年度米国進出日系企業実態調査PDFファイル(0.0B)」の結果では、2017年の営業利益見込みに関する質問で、特に南部・南東部に集積する輸送用機器部品(自動車/二輪車)企業の黒字企業数が前年比25%減少した。さらに、2017年の営業利益見込みが、前年実績に比べてどう変化したかという質問に対して、輸送用機器部品(自動車/二輪車)企業の約6割が「悪化した」と回答した。

オートデータが2018年1月3日に発表した2017年12月の米国新車販売台数(速報値)でも、2017年の自動車産業が若干の落ち込みをみせた。2017年12月の米国新車販売台数は前年同月比5.2%減の160万3,000台、通年では1.8%減の1,723万台で、2009年以来の前年比減となった。2016年12月(169万台)を含めて、過去最高を記録した2016年通年の販売台数(1,755万台)の反動で減少したとみられる。

ただし、2018年の営業利益の見通しについては、輸送用機器部品(自動車/二輪車)企業の37%が「改善する」、47%が「横ばい」とする一方、「悪化する」という回答は17%にとどまっており、業績悪化は短期的になりそうだ。輸送用機器部品(自動車/二輪車)企業の設備投資に関する回答をみても、2017年に前年比で投資規模を拡大した企業が全体の4割を超えるなど、中長期的に米国ビジネスが拡大すると見通す企業が多い。

マツダとトヨタは新工場に約16億ドルを投資

米国市場への日本企業の事業拡大の動きを裏付ける投資計画が発表された。

マツダ(本社:広島県)とトヨタ(本社:愛知県)は現地時間1月10日、共同で予定している米国新工場は米国南部のアラバマ州ハンツビルに建設することを、正式に発表した。候補地としてはノースカロライナ州を含む11州が挙がっていたが、アラバマ州が誘致合戦に競り勝つかたちとなった。新工場の投資額は約16億ドルで、稼働は2021年を予定しており、最大4,000人の新規雇用が計画されている。トヨタは2017年以降5年間で米国に100億ドルを投じる計画を既に示していたが、今回の計画で総投資額はさらに追加されることになる。

労働省によると、米国南部(注)は他の地域に比べて製造業の労働コストが低く、失業率は過去5年で大幅に回復している。また、製造業人材の不足が課題になる中、失業率の水準が全国平均を若干上回る州が多く、余剰人員に比較的恵まれている。

(注)メリーランド州、デラウェア州、ウェストバージニア州、バージニア州、ケンタッキー州、ノースカロライナ州、オクラホマ州、アーカンソー州、テネシー州、ジョージア州、サウスカロライナ州、テキサス州、ルイジアナ州、ミシシッピ州、アラバマ州、フロリダ州の16州。

(飯沼里津子)

(米国、日本)

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