「第4回中国国際シルバー産業博覧会」が広州で開催-広東省初の日系介護施設に注目-

(中国)

広州発

2018年01月10日

広東省広州市で「第4回中国国際シルバー産業博覧会」が11月16~18日に開催され、日系および日本企業16社が現地の高齢者産業の事業者と商談に臨んだ。7月には日本でグループホームを運営するアコード(本社:茨城県日立市)が同省中山市に認知症高齢者向け介護施設を設立、同省で初めての日系高齢者事業として注目されている。

日本からは初参加11社を含め16社が出展

「中国国際シルバー産業博覧会」は広東省で最大規模の高齢者産業の展示会で、国内外から約300社が出展し、3日間で延べ3万人の関係者らが来場した。海外からは日本、米国、ドイツ、オーストラリア、英国、フランス、オランダ、ニュージーランドなどの企業100社が出展した。

ジェトロは博覧会場内にジャパンパビリオンを設けた。中国の華東・華北地域で事業展開している日系企業や、新たに中国展開を目指す福祉器具、施設運営、コンサルティングなどの合計16社が出展し、製品やサービスを展示・紹介した。初参加は11社、広東省に拠点を持つ企業は3社だった。

写真 にぎわったジャパンパビリオン(ジェトロ撮影)

中山市に日系初の認知症の高齢者向け施設

その中で注目を集めたのが、2017年に広東省で介護施設の運営事業を始めたアコードだ。7月に中山市にある高齢者向け施設の中山市広弘頤養院の一角に、認知症の高齢者を対象とするグループホーム「中山広弘認知症介護研究中心」を開設した。中国側パートナーの広州愛知養老服務と共同で運営している。

中山市広弘頤養院は、中山市政府が出資し国有企業の広東広弘投資が運営する公設民営施設で、現在約250人が入居している。中山広弘認知症介護研究中心はその中にあり、個室主体の、最多ベッド数12床の施設で、84歳から89歳までの認知症の高齢者4人が入居している。この施設では、これまでの日常生活に近い生活環境で安心・安全な介護サービスを提供し、入居者が自力で生活できる意欲と能力を高めることを目指している。

 写真 「中山広弘認知症介護研究中心」の正面入り口(左)と共有スペース(右)(ジェトロ撮影)

主任の趙奕舒氏は「中国では認知症の高齢者が急増しているが、現状では認知症への理解が浅く、専門的な介護サービスを提供できる施設は限られている。しかし、所得水準が高まるにつれ、認知症の高齢者向けの優良な介護サービスの需要はさらに拡大する」と述べた。一方で、認知症の高齢者といっても症状によって対応は異なることから、スタッフの実務経験の積み重ねが重要で、人材確保と育成は中国で事業を拡大する上で重要な課題だとも話した。

写真 「中山広弘認知症介護研究中心」のモデルルーム(ジェトロ撮影)

民生部と広東省統計局によると、2016年の広東省で65歳以上の高齢者が人口に占める割合は8.6%で、全国平均の10.8%と比べると低い。高齢者分野での日系企業の進出も、北京を中心とした華北地域、上海を中心とした華東地域に比べ遅れているものの、経済規模の大きさや所得水準の高さなどからみて、今後日系の優良な介護サービスのニーズが拡大する余地は十分にあるといえそうだ。

(張琳荷)

(中国)

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