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食品産業の高付加価値化目指し熱い議論-ハノイでシンポジウムを共催-

(ベトナム)

ハノイ発

2018年01月19日

ジェトロは12月12日、ベトナム商工省と「ベトナム食品関連産業発展シンポジウム」(経済産業省の委託事業)をハノイ市で共催した。両国の企業や関連機関などから約100人が参加し、ベトナムの食品産業分野の高付加価値化と両国の協働促進に向けた議論が行われた。

ベトナムでも「6次産業化」の推進を提唱

ベトナムにとって農業は重要産業の1つで、従事者は労働人口の約5割、また農林水産業はGDPの約2割を占めている。一方、当地における食品産業は、「企業同士の連携が弱い」「研究開発が不十分」(当地政府関係者)などの理由から高付加価値化が図られておらず、競争力の強化が大きな課題となっている。

シンポジウムの冒頭で、ジェトロ・ハノイ事務所の北川浩伸所長が、日本で推進されている「6次産業化」(注)の仕組みをベトナムでも構築し、さらに日越が協力して高付加価値化を推進する「36次産業化」の概念を提唱した(図参照)。北川所長は「36次産業化の取り組みを広げるためには、日越双方でプレーヤーを増やすことを通じて、シナジー効果を高めていく必要がある」と述べた。

図 36次産業化のイメージ

日系レストランは契約農家を消費者に紹介

続いて、6次産業化に取り組む日系企業3社によるパネルディスカッションが行われた。

農業生産者約100軒が加盟する農事組合法人「和郷園」(千葉県香取市)の木内博一代表理事は、日本での6次産業化の経験を生かし、タイの生産者に技術指導して生産した高品質な農産物を日本やASEANへ輸出している事例を紹介した。ベトナムでも、サツマイモ生産者に日本の栽培技術を導入することで収量を200%向上させた実績がある。今後は、ベトナム産の高品質なサツマイモを先端技術で加工し、焼き芋や乾燥芋にして世界各地に届けたいと抱負を語った。

「スノーピーク地方創生コンサルティング」(新潟県三条市)の後藤健市社長は、食と観光のコラボレーションで地方に観光客を誘致した日本での事例を挙げ、人・食材・景観などを組み合わせて発信する重要性を強調した。「地域の人が地元の素材にプライドを持ち、人を招くことで地域のブランド力も高まる」と述べ、ベトナムでも美しい景観の中で最高の食を提供するなど、都市の人が楽しめる仕掛けを行うことで、地方に人が流れる仕組みを作るよう提案した。

イタリアンレストラン「Pizza 4P’s」を2011年にホーチミン市で立ち上げた益子陽介最高経営責任者(CEO)は「中部高原地域のダラットで酪農家から購入した牛乳をもとに、自社工房でフレッシュチーズを製造し、国内8店舗で使用するほかホテルや小売店にも販売している」と6次産業化の取り組みを紹介した。安心感を高めるため契約農家を消費者に紹介する「ファーム・トゥ・テーブル(Farm to Table)」という同社のコンセプトはベトナムでは珍しく、海外メディアでも取り上げられている。益子氏は今後の計画について、日本企業との協力による商品開発、冷凍ピザなどの輸出、食と農のテーマパーク運営などに取り組みたいと述べた。

日本の「農商工連携」を参考に

第2部では、日越の政府機関が食品産業分野の高度化に向けた支援策などを紹介した。

農林水産省大臣官房国際部海外投資・協力グループの坂治己国際交渉官は、日越農業協力対話PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に参加する日本企業が年々増加しており、今後もベトナムの農業農村開発省や商工省などと連携し、農業・食品産業分野の投資環境の改善を進めていきたいと述べた。

経済産業省通商政策局アジア大洋州課の増井国光参事官は「原材料をベトナム国内で調達するためには、生産者も食品メーカーの品質基準を満たす努力が必要」とし、新商品・サービスの開発には「農商工連携」など日本の取り組みが参考になるとした。

シンポジウムではこのほか、在ベトナム日本大使館、ベトナム商工省、地方政府を代表して北部クアンニン省からも、食品産業の競争力強化に向けた取り組みなどの紹介があり、来場者からは「実際にベトナムでビジネスしている日系企業の話は参考になった」「36次産業化の概念はベトナムの食品産業発展に資するだろう」などの声が聞かれた。

 写真 シンポジウム会場の様子(ジェトロ撮影)

(注)第一次産業(農林水産業)、第二次産業(製造・加工業)と第三次産業(サービス業)を組み合わせ、新たな付加価値を生み出す取り組み。

(グエン・ラン、佐々木端士)

(ベトナム)

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