特許審査官向けに自動車関連の技術説明会を開催-インド初、日系企業主体で実施-

(インド)

ニューデリー発

2018年01月23日

インドに進出する日系企業61社が加盟するインド知的財産研究会(IPG)は、インド特許意匠商標総局(CGPDTM)の特許審査官らを対象に、自動車関連の最新技術の説明会を開催した。特許審査の円滑化を目的として、日系企業が技術面でのブリーフィングを特許当局に実施したのは今回が初めて。

特許意匠商標総局デリー支局の審査官ら93人が参加

インド知的財産研究会(IPG、事務局:ジェトロ・ニューデリー事務所)は自動車関連の最新技術説明会を2017年12月11日、ニューデリーで開催した。本説明会にはインド特許意匠商標総局(CGPDTM)デリー支局の機械担当の審査官および審査管理官ら計93人が参加した。日系企業では、インドで自動車を製造・販売するスズキ、トヨタ、日産、ホンダおよびヤマハ発動機の知財担当者が参加。四輪車と二輪車の車体構造に加え、電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池自動車(FCV)などの新エネルギー車や、自動運転など近年注目されている技術のポイントについて、動画を交えつつ解説した。

EVの普及へ各社が技術開発競争を展開か

インド政府は2017年6月初旬、2020年までにEVおよびHVの販売台数を600万~700万台とし、2030年までに国内で販売する自動車を全てEVにするという政策目標を発表しており、今後の普及拡大が予想される。EV向け技術に関する各自動車会社間の一層の技術開発競争が予想され、これに伴う特許出願件数の増加も見込まれる。

審査官の技術への理解が深まれば、特許審査が速まることが期待され、特許出願の迅速な処理に効果があるとされている。

自動車関連技術以外での開催に期待も

本説明会の開会式にはCGPDTMデリー支局長のK・S・カルダム氏が出席し、「同様の説明会をニューデリー以外の3つの特許局(コルカタ、ムンバイ、チェンナイ)でも定期的に開催してほしい」と要望した。本説明会に参加した審査官は「四輪、二輪車のさまざまな技術的側面を理解するのに非常に役に立った。この機会はわれわれの知識を高め、業務の手助けになる」と述べた。説明会の終了後には、カルダム氏を交え、最近のインドの特許出願の審査状況やCGPDTMの取り組みなどを紹介し、意見交換が行われた。

今回の説明会を通じ、インド特許審査官の専門性の向上や、特許出願処理の迅速化などが期待される。今後は自動車関連技術のみならず、他の技術分野での技術説明会の開催にも期待が寄せられている。

写真 技術説明会の様子(ジェトロ撮影)

(羽鳥慎也)

(インド)

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