武漢市、7営業日で外国人居留証更新を可能に-永久居留身分証は申請受理後180営業日で発給-

(中国)

武漢発

2018年01月09日

武漢市は、市内の中国(湖北)自由貿易試験区武漢片区ならびに武漢創新改革試験区を対象に、外国人の永久居留身分証発給と居留証更新に関して利便性を高めた制度を実施している。人材招致を含め、産業を高度化する狙いとみられる。

外国人材を招致し産業の高度化促す狙い

武漢市公安局は2017年7月、中国(湖北)自由貿易試験区武漢片区ならびに武漢創新改革試験区を対象とした、外国人の永久居留身分証発給と居留証更新に関して新たな制度10項目を発表した。両地区への人材招致を通じて産業の高度化を促すのが狙いとみられる。発給や更新の申請窓口は同局出入境管理局となっている。

[外国人永久居留身分証の発給対象]

外国人永久居留身分証は、従来の外国人永久居留証に代わるもので、チップ内蔵型のカード仕様。身分証明書としても使用できる。申請受理後180営業日で発給する予定。交付の対象は以下のとおり。

(1)中国(湖北)自由貿易試験区武漢片区、武漢創新改革試験区が所定の法令に従って認定した外国籍ハイレベル人材

(2)一定の条件に合致した外国籍申請者とその家族〔例えば、中国(湖北)自由貿易試験区で連続4年間勤務し、中国国内での実際の居住期間が6カ月以上。4年連続で税引前給与が前年度の武漢市平均給与額の6倍以上かつ毎年の個人所得税納付額が一定水準以上、就業先から推薦を受けた者など〕

(3)一定の条件に合致した外国籍中国人〔例えば、博士以上の学歴を有し、中国国内で就職または連続4年以上勤務し、実際の居住期間が6カ月以上など〕

申請に必要な提出書類は上記の交付対象によって異なるが、在留邦人にとって最も関係があると思われる(2)については、提出書類として以下が定められている。

○外国人向け中国永久居留身分証申請書と申請者本人のカラー写真(4枚)

○パスポートと4年連続勤務を証明する居留許可正本

○健康証明書(18歳以下は不要)

○無犯罪証明書

○直近4年間の給与証明と個人所得税納税証明の正本

○就業先による推薦書正本

○就業先の企業営業許可証副本または登記証明書、外資企業の場合は外資企業批准証または外資企業設立もしくは変更に関する受領書および外資企業経営情報報告に関する受取書(中国企業は不要)

申請者に係る外国籍配偶者とその未成年子女については別件規定による。

[外国人居留証の更新条件]

武漢市公安局は、以下の条件に合致する人材に対しては、外国人居留証の更新に要する日数を申請受理後7営業日とした。

(1)就職、進学、親族訪問を目的とした外国籍中国人

(2)中国の重点大学で学位を取得し、中国(湖北)自由貿易試験区もしくは武漢創新改革試験区で起業予定の外国籍留学生

(3)中国(湖北)自由貿易試験区もしくは武漢創新改革試験区で2度以上連続して就業居留許可を取得しており、かつ不法行為がない外国籍人材

(4)中国(湖北)自由貿易試験区もしくは武漢創新改革試験区において産学研究上必要とされる外国籍人材

申請に必要な提出書類は上記の交付対象によって異なるが、在留邦人にとって最も関係があると思われる(3)については、以下が主な提出書類として定められている。

○パスポートと居留許可証正本

○武漢市内の居住地派出所またはホテルに提出した「臨時宿泊登記書」(1年以内)

○外国人査証申請書(黒ボールペンにて記入)と申請者本人の近影写真1枚(白地正面)

○就業先企業の登記証明書(外国企業常駐代表機構登記証など)

○申請書正本および就業先などの中国語文書

○延長もしくは年度検査を経た就業許可証

○出入境管理局部門が命じる他の資料

新たな制度には不透明さも

他方で、新たな制度には不透明な部分も少なくない。例えば、外国語資料の場合、信頼に足る翻訳会社による翻訳と要件にあるが、これについて当局は「中国企業」「翻訳を業とする企業」とするにとどまっている。また、外国人永久居留身分証の交付を受けた場合、当該外国人の中国国外の所得が課税対象となるのか否かについても明確ではない。

また、当局は理由を開示することなく発給を拒否するともされているが、書類不備によるものか何らかの判断を踏まえたものなのか不明な場合は、混乱が生じることも懸念される。

(古谷寿之)

(中国)

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