模倣品の取り締まり強化を当局に要請-広州で真贋判定セミナー開催-

(中国)

広州発

2018年01月10日

ジェトロと経済産業省は広東省広州市で11月8日、市内の海珠区と●(草かんむりに力3つ)湾区の市場監督管理局の職員向けに、真贋判定セミナーを共催した。模倣品被害に直面する日系企業支援の一環。日系企業8社が自社製品とその模倣品の概要、過去の摘発案件、真贋判別のポイントなどについて説明を行い、一層の取り締まり強化を要請した。

権利者側との交流を重視

両区の市場監督管理局からは幹部と職員合わせて計58人(海珠区25人、●湾区33人)が参加した。海珠区市場監督管理局の肖亮副局長は冒頭のあいさつで、「知的財産権保護を強化しており、2017年9月までに70件余りの商標権侵害案件を処理し、合計238万元(約4,046万円、1元=約17円)の罰金を科した。さらに、10月に広州市内で開催された第122回中国輸出入商品交易会(広州交易会)では、知的財産権侵害の有効申し立て件数86件のうち68件に撤収命令を出した」と述べた。

また、●湾区市場監督管理局の張暁生副調研員もあいさつで、「知的財産権保護に当たっては常に権利者側との交流を重視している。2017年9月までに商標権侵害案件60件を処理し、計190万元の罰金を科した」と話した。

 

3局統合で取り締まりが効率的に

日本側参加企業からの質問事項と回答は以下のとおり。

(問)工商行政管理局(工商局)、質量監督管理局(質監局)、打撃製販假冒偽劣商品違法行為弁公室(打假弁)の3局(注1)が統合されて市場監督管理局となってから、摘発の効率は向上したか。

(答)海珠区では向上した。以前は工商局が流通段階での取り締まり、質監局は生産段階での取り締まりをそれぞれ行っていたが、現在は両段階に1部門で対応できるようになった。統合後、摘発件数は大幅に増加した。

(問)どういった製品が摘発されているのか。

(答)海珠区ではアパレル製品が中心。電化製品も摘発している。

(問)中古品を新しい偽のパッケージで包み再販するケースは商標権侵害に問えるか。

(答)海珠区では必ずしも商標権侵害と認められるわけではない。製品品質法(注2)や広東省の条例によって摘発できる可能性はある。ただし、授権されていない商標を包装に無断で貼付している場合は商標権侵害となる。

求められる迅速な真贋判定

(問)以前行われた模倣品集中取り締まりキャンペーン「三打両建」(注3)のような活動を今後も行う予定はあるか。

(答)現在、●湾区では「三打両建」のような取り締まりが常時行われている。今後も4月26日の世界知的財産権の日などには知的財産権保護を目的としたPR活動などを行う予定なので、ぜひ参加してほしい。

(問)商標の類否判断に基準はあるか。

(答)●湾区では案件に応じて個別に判断しており、明確な基準があるとは言い難い。侵害が疑われる商品が発見されれば、日系企業による迅速な真贋判定のため、ジェトロには日本側権利者との連絡・調整などの面で協力してほしい。特に中国国内に拠点や提携先がない日系企業の権利が侵害された際に、その企業と連絡が取りにくいケースがあった。

セミナー後は、日系企業各社が両区の市場監督管理局の職員に真正品と模倣品を見せながら真贋の識別方法の説明を行い、職員は「日常の検査の現場で役に立つ」と話していた。

写真 セミナー会場および展示コーナーの様子(2点ともジェトロ撮影)

(注1)工商行政管理部門は商標権の侵害行為を取り締まる権限を、質量監督管理部門は生産や流通過程にある品質の劣悪な製品を監督・管理および取り締まる権限を有する。打假弁は品質が劣悪な製品、模倣品を取り締まるほか、管轄地域内の行政執行に対して指導、監督・管理および統括・調整を行う特別な権限を持つ。

(注2)製品品質法(産品質量法)は、製品の品質に対する監督・管理を強化し、品質を向上させ、品質に対する責任を明確にし、消費者の合法的権益を保護し、社会・経済秩序を維持するため制定された製造物責任関連法令。

(注3)「三打」とは、(1)市場を独占し、同業他社の流通を妨害する行為、(2)模倣品の製造・販売行為、(3)商業賄賂行為を摘発することを指し、「両建」とは、(1)社会の信用体制、(2)市場監督体制を確立することを指す。

(金光、黎偉君)

(中国)

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