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トルドー政権の政策ではNAFTAが最大の注目点-2017年度カナダ進出日系企業実態調査-

(カナダ)

米州課

2018年01月11日

ジェトロは10月3日から11月15日にかけて、カナダに進出している日系企業188社に対してアンケート形式の「2017年度カナダ進出日系企業実態調査」(有効回答157社、有効回答率83.5%)を実施した。2017年は回答企業の75.3%が黒字を見込み、米国進出日系企業と同様に、過去最長の6年連続で7割超の営業黒字率を維持した。トルドー政権の政策に対する関心分野として北米自由貿易協定(NAFTA)に高い関心を示し、NAFTA再交渉による影響を受ける内容としては「通関・貿易円滑化・原産地規則」が最も高かった。


2017年の営業黒字率は6年連続の7割超え

カナダ進出日系企業の営業利益は、2017年は回答企業の75.3%が黒字を見込む(添付資料の図1参照)。2016年度(前回)調査の72.3%より3.0ポイント増加し、2012年度調査以降、6年連続で7割を超えた(2016年12月6日記事参照)。カナダ進出日系企業は、売り上げの約3分の2(67.0%)をカナダ国内市場が占めており、原油価格の上昇と堅調な内需が実質GDP成長率を押し上げる中、進出日系企業の収益は改善した。

日系企業の景況感を示すDI値(前期と比較した営業利益の「改善」-「悪化」)は25.0となり、前回から8.7ポイント改善した。2017年の営業利益が前年比で「改善」するとの回答割合は47.4%で前回から6.3ポイント上昇し、営業利益が「悪化」するとの回答(22.4%)は2.4ポイント減少した。また、2018年の景況感の見通しを示すDI値は34.0で、2017年に比べて9.0ポイント上昇しており、営業利益の悪化を見込む企業は12.8%に減少している。

今後1~2年の事業の拡大を視野に入れる回答企業は50.3%で、前回から9.5ポイント増加した。産業別でみると、製造業は前回(37.5%)から11.3ポイント増加し、非製造業は前回(43.6%)から8.5ポイント増加した。拡大する機能として、「販売」(64.9%)や「生産品(高付加価値品)」(36.4%)が主に挙がった。

NAFTA域内の調達率は6割超に

日系企業の調達、販売状況をみると、NAFTA域内の調達率は6割を超え、販売先はNAFTA向けが8割を超えた。原材料・部品の調達については、カナダ国内からの調達比率は34.7%となり、米国(24.2%)とメキシコ(2.5%)を合わせたNAFTA域内からの調達率は61.4%を占めた(添付資料の図2参照)。アジアからの調達は、日本が23.9%を占め、中国が5.8%、ASEANが3.5%と続いた。今後の調達については、米国、カナダ、日本から調達を拡大する方針がみられ、変更理由として、調達コストの変動(48.7%)や物流コスト(39.3%)が多く挙がった。

日系企業の販売先はカナダ国内が67.0%、米国が14.1%、メキシコが1.3%という分布となり、カナダを含むNAFTA向けは82.4%を占め、日本向けは12.7%となった。今後の方針では、カナダ、米国などNAFTA域内での販路拡大を検討している企業が多かった。

FTAの利用状況について、全回答企業のうち米国またはメキシコとの輸出入においてNAFTAを利用する企業は、40.8%だった。このうち、輸出/輸入を行っている企業に限ると、NAFTAを利用する企業は66.7%となった。また、2017年11月に11カ国による大筋合意が確認された環太平洋パートナーシップ(TPP)について、日本からの輸入でTPPの利用を検討中の企業は半数近く(47.5%)に上った。

賃金の上昇や対米ドルの為替リスクが引き続き課題

カナダにおけるコスト上昇要因となる経営上の課題については、「賃金(給与・賞与)の上昇」が63.6%と前回(46.4%)から17.2ポイント増えて最大要因になり、「米ドル/カナダドル為替リスク」が62.3%と続いた(添付資料の図3参照)。回答企業からは、「ここ半年間で20%も賃金が上昇している。最低賃金上昇率も影響しているが、基本的に最低賃金にプラス4カナダ・ドルで対応している」(食品製造)、「経験豊富な技術職の人材が業界全体で不足しているため他社から引き抜かれることがあり、人材を定着させるのが困難」(輸送用機器部品)といった声が聞こえた。規制面では、「環境規制」(51.4%)、「日本人駐在員のビザ」(35.1%)が前回に続き課題の上位に挙がった。

最大の関心は通商、特にNAFTAが圧倒的

トルドー政権の政策に対する関心分野として、「通商」(78.4%)、「税制」(70.6%)、「外交」(62.1%)が上位3項目に挙がった(添付資料の図4参照)。通商の中でもNAFTAへの関心が66.0%と高く、続いて日カナダFTA(35.3%)、TPP(29.4%)と日本を含むFTAに関心を示した。通商に次いで関心が高かった「税制」では、6割近くの企業(58.2%)が法人税に関心があると回答した。

2017年8月からカナダ、米国、メキシコの3カ国で行われているNAFTA再交渉により影響を受ける内容として、「通関・貿易円滑化・原産地規則」(77.5%)、「為替」(44.2%)、「物品市場アクセス」(37.7%)が上位に挙がった。業種別にみると、「通関・貿易円滑化・原産地規則」では輸送用機器・同部品(100%)の関心が高かった。また、「通関・貿易円滑化・原産地規則」を選択した企業比率は、米国進出日系企業(68.3%)に比べ、9.2ポイント上回った。

(中溝丘)

(カナダ)

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