タオバオなど中国のサイト活用が主流-活発化する電子商取引(2)-

(ラオス)

ビエンチャン発

2018年01月31日

ラオスでは電子商取引(EC)において、「淘宝(タオバオ)」など中国のオンラインショッピングサイトが多く利用されている。中国~ラオス間の道路が整備され、国境を越える配送コストは低下している。一方、ラオス国内では宅配サービスや発注リスクなどの課題も残されている。連載の後編。

商品は主に中国から発送

ラオスではECの普及に伴い、EC用のオンラインショッピングサイトを立ち上げる企業が増えている。その際、淘宝(タオバオ)など中国のオンラインショッピングサイトにリンク付けされることが多い。

例えば、ラオス語のオンラインショッピングサイト(BUYLAO.com外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)には、衣服をはじめさまざまな商品が掲載されているが、サイトのほとんどの商品紹介ページはタオバオにリンク付けされている。

その理由の1つとしては、一般のラオス人が外国語(中国語)を理解できず、また支払い手段も限られるなど、直接タオバオを閲覧し商品を注文するのは難しいことがある。そこで、ラオス語のサイトを経由することになりがちだが、この場合、中国からの商品配送もラオス企業が間に入って手配するため、配送に関する不安も解消されるという。

このように、ラオスのウェブサイト運営会社を仲介して中国から商品を受け取る方法は、消費者だけでなく運営会社にもラオス国内に在庫を抱える必要がないというメリットがある。現在、BUYLAO.comを通じてタオバオに掲載されている商品を購入する場合、中国国内の販売価格に、販売手数料(商品価格の5%)と1キロ当たり2万5,000~3万5,000キープ(約325~455円、1キープ=約0.013円)の輸送代が上乗せされる。このほか、アリババなど他の中国のオンラインショッピングサイトが扱う商品についても、BUYLAO.comを通じて購入することが可能だという。

国内の宅配サービスは未整備

普及しつつあるECだが、運用上の課題も残されている。ラオス国内の宅配サービスだ。先述のように、中国からラオスへの物流インフラは整いつつあるものの、ラオス国内では販売会社から顧客宅までの配送サービスが質・量ともに不十分だ。ビエンチャン市内では一部でバイク便などによる配送サービスも始まっているが、料金が高いため、一般市民が頻繁に利用するにはハードルが高い。購入者は、オンラインで商品を注文しても販売会社まで受け取りに行かざるを得ない状況だ。今後、特に地方の食料品・農産物などのEC取引を活発化させるためには、国内の配送網を整備し、サービスを向上させる必要があるだろう。

また、国境を越え、中国からの商品配送が多いため、仮に注文と異なった商品が届いても、消費者が返品・交換などの対応をするのは難しい。さらに、越境配送に際し、関税課税が不透明な場合もあるという。

(山田健一郎)

(ラオス)

ビジネス短信 0a8b1af3e8432813