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安全対策を講じ、急成長する市場を開拓-ドバイ日系企業向けにパキスタン・セミナー開催-

(アラブ首長国連邦、パキスタン)

ドバイ、カラチ発

2017年12月19日

ジェトロは11月22日、ドバイ市内でパキスタン・セミナーを開催した。ドバイとパキスタン最大の商都カラチは飛行機で2時間圏内と近く、ドバイの日系企業がパキスタン市場を開拓する動きがみられる。セミナーでは、2022年ごろに年間販売台数が50万台を突破すると予測される自動車市場などのビジネスチャンスや、安全に渡航するための留意点について解説があった。

ドバイ拠点がパキスタンを管轄する日本企業も

「パキスタンのビジネスチャンスと日本企業の安全対策」セミナーには、パキスタン市場に関心の高いドバイの日系企業関係者30人が参加した。これまでは日本企業の地域戦略上、パキスタンはアジア統括であるシンガポール拠点が管轄することが多かったが、最近ではドバイ拠点が管轄し、パキスタンでの営業・マーケティングなどを行う企業も増えている。

ジェトロ・カラチ事務所の久木治所長は、パキスタンの魅力として、(1)2億人を突破した国内市場、(2)若年人口比率の高さ、(3)英語を話す人口の多さ、(4)ジャパンブランドへの信頼感、の4つを挙げた。国内市場では、パキスタンはここ5年以上、堅調な経済成長を続けており、2016/2017年度の成長率は過去最高の5.3%となった。特に中国の「一帯一路」構想の一部である中国パキスタン経済回廊(CPEC)プロジェクトが進展しており、高い経済成長に寄与しているとした。

一方、海外債務や国際収支の面ではリスクが高まっている。CPECに伴う中国からの借入金の増大に加え、貿易赤字の拡大と海外出稼ぎ労働者送金の減少により経常赤字が拡大しており、「今後、ルピー安になる懸念が高まっている」と指摘した。

自動車部品の現地調達ニーズが高まる

日系企業が高いシェアを占める輸送機器産業も販売が拡大している。パキスタンの自動車販売台数は年間22万台(2016/2017年度、注)程度だが、2017年7~10月には前年同期比31.4%増の8万6,986台と急成長している。トラクターの販売も72.9%増の2万1,757台と好調で、農村部の消費意欲も高まっている。

自動車や自動二輪、トラクターなどの部品を現地生産するアグリオート・インダストリーズの荒栄豊取締役会長は、「2022年ごろには年間自動車販売台数は50万台を突破する可能性が高い」と語った。パキスタン政府は製造業の新規進出への優遇策や、国内での原材料・部品調達のインセンティブとなるような関税制度を設けており、今後、パキスタン国内での原材料や部品の調達ニーズはさらに高まる、との見方を示した。

パキスタンで工場を運営する上では、若年層人口が多いのでワーカーの確保が容易というメリットがあり、「技術・能力的にも東南アジアの工員と比べて遜色ない」という。

一方、直近のリスクとしては、外貨不足などを背景とした唐突な輸入税の引き上げ、ルピー安による輸入部材のコスト増などがある。荒栄会長は、こうしたリスクを低減するためにも、税制動向を迅速に把握し、税務当局などと交渉できる優秀な財務担当役員を雇用することや、製造以外の部分を担当してくれる現地パートナーを見つけ、得意な分野で役割分担するのが成功の秘訣(ひけつ)だと話した。

緊急時の対処方法を想定して対策

日本企業がパキスタン市場に取り組む上で、最大の障害となるのが治安の問題だ。日本人ビジネスパーソンの渡航が多いカラチでは、「重大犯罪はピーク時より半分に減少している」(久木所長)が、訪問時には注意が必要で、具体的には表にある項目に留意する必要がある。

表 カラチへ渡航する上での安全対策チェックリスト
対策 項目
基本となる安全対策
  • 外務省、渡航先の日本大使館・総領事館などから最新情報を入手する。
  • 渡航先のリスクを抽出して回避策を検討する。
  • 緊急時の対処方法をイメージし、事前に対策を練っておく。
テロ対策
  • テロ組織の攻撃対象となりえる場所に近づかない。
  • テロ攻撃が予想される時期や時間帯を避ける。
  • 警備体制の不十分な施設は避ける。
路上犯罪対策
  • 移動は自動車を利用し、歩く時間を最小限にとどめる。
  • 人通りの少ない通りや夜間移動、単独での移動を避ける。
誘拐対策
  • 犯罪組織やテロ組織の手口を把握し、活動地域に近づかない。
  • ホテルや事務所の安全性を確かめる。
在カラチ日系企業が採用する安全対策
  • 祝祭日を含む日程での出張を控える。
  • 礼拝のある金曜午後は外出を控える。
  • 携帯電話に依存しない通信手段を確保する(緊急時に回線が遮断されるため)。
  • 車両にはシェードを付けて車内を見えづらくする。
  • 警備員を乗せた車両を後方から随行させる。または警備員を車両に同乗させる。
  • 外務省の「たびレジ」へ登録する。
  • 少額を入れた財布や携帯電話を携行する(強盗に遭遇した際に渡すため)。

(出所)オオコシセキュリティーコンサルタンツの廣瀬幸次シニアコンサルタントと久木治ジェトロ・カラチ事務所長の講演内容

パキスタンへの渡航には安全対策が必要だが、「実際にパキスタンを訪問した上で、ビジネスチャンスを自分の目で確かめることが最も重要」(久木所長)だ。

(注)パキスタンの年度は7月~翌年6月。

(山本和美、野上活)

(アラブ首長国連邦、パキスタン)

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