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輸入港での食品保留措置への対応に留意を

(米国)

シカゴ発

2017年12月20日

米国に食品を輸出するに当たっては、さまざまな規制を理解し、それに沿って適切な手続きを行う必要がある。2016年9月から、食品に関する新たな規制である米国食品安全強化法の適用が順次開始され、米国で消費される食品の製造、加工、保管、輸入などを実施する者に対し食品安全に係る義務が課された。他方、それらを順守したとしても、米国の港で輸入を止められるケースがあるとの声が日系企業から聞かれる。そこで、OFW弁護士事務所の協力の下、こうしたケースに係る事例および対応策について紹介する。

FDAに規制製品を留置する権限

米国食品医薬品局(FDA)は、米国食品医薬品化粧品法(FD&C法、以下「本法」)に基づき、「外観上、本法に不適合のように見えるだけ」の場合でも、規制製品(食料品など)を留置する権限を有する。また、FDAの各地区事務所は、当該製品の荷主もしくは荷受人に対し、どういった違反があるかを明記した「FDAの措置通知」を発行する権限を有する。

一方、荷主もしくは荷受人には略式審理の権利(すなわち「当該製品が問題ないと言える権利」)が与えられており、当該製品の認容性に関する証拠を提出することができる。なお、当該製品が本法に適合している証拠を荷主が提出しなかった場合、または当該製品を本法に適合させる計画を提出しなかった場合、FDAは当該製品に対する許可を拒否する新たな「FDAの措置通知」を発行する。その場合、当該製品は90日以内に再輸出もしくは逆輸出または破棄処分がされなくてはならないとしている。

FDAの輸入支援運用管理システム(OASIS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、日本のFDA規制製品であって入国予定だったものが輸入拒否された件数は、2017年9月だけで32件(11月8日時点)に及ぶ。また、FDAは対象となる全製品について書類検査を実施するが、物理的検査を受ける輸入食品の割合は、輸入されたFDA規制製品の1%に満たないといわれる。

OFW弁護士事務所によると、FDAの輸入検査官はおおむね有効に機能しているが、一部の輸入港の事務所では人手不足という話もあり、輸入問題を円滑かつ速やかに解決するために必要な財源が不足している場合もあるという。この結果、食品を留置する際の理由が説明できず、その後の対応が遅くなるといった問題につながってくると推察する。

輸入港で日本産食品の留置が発生

ジェトロは先般、米国で日本産食品の輸入を行う日系企業に対し、米国への輸入に際しての問題などに関してヒアリングを実施した。その結果、複数の企業においては水際(港)での輸入に係る問題を経験しており、最近では次のようなケースが発生している。

○FDA検査官による対応に疑問が残る〔例:外観上、要冷蔵のラベルがあり、検査も要冷蔵に応じた対応をすべきである(または業者に確認すべきである)にもかかわらず、それらの対応を取らずに直ちにDWPE(Detention Without Physical Examination:物理的検査なしの即時留置)の警告が発令される〕。

○当該輸入問題に関する問い合わせや必要書類の提出などをしても、当局から返答がない。

○新たに取得した施設番号が施設登録システムに拒否される(2016年9月の施設登録に関する制度改正に伴うシステム変更などに起因するものとみられる)。

FDA内の担当課などに相談を

こうした不当な輸入問題が生じた場合の対処および今後の対応について、考えられる方策を紹介する。検討に当たっては、ワシントンのOFW(オーソン・フランク・ウィーダ・ターマン・マッツ)弁護士事務所外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの協力をいただいた。

まず、FDA内の輸入オペレーション課PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(DIO:Division of Import Operations)への相談が役立つ場合がある。同課に属する職員は、一般的に知識もあり、輸入港の検査官に連絡を取って問題の解決に当たることができるという(同課の電話番号:301-796-0356、eメールアドレス:FDAImportsInquiry@fda.hhs.gov)。

西海岸の輸入貨物については、同地域を所管するFDAのウェストコースト輸入課PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(DWCI:Division of West Coast Imports)を適宜活用することも考えられる。

今後、FDAによる輸入慣行の改善を図るには、以下のような対応策が挙げられる。

(1)これまでに発生した不当と考えられる輸入に係る問題について、DIOと会合を持つ、また文書を送付(関係当局にもその写しを送付)する。こういったコミュニケーションによって、FDAの食品施設登録システム(FIS)のデータベースと輸入システムのデータベースとのインターフェースにおける欠陥など、これまでに生じた問題の原因を調査・特定する機会が生まれるのではないかと考えられる。

(2)FDAの国際部(OIP:Office of International Programs)内の地域・国家問題事務局(ORCA:Office of Regional and Country Affairs)と会合を持つ、また文書を送付(関係当局にもその写しを送付)する(ORCAのeメールアドレス:US-FDA-ORCA@fda.hhs.gov)。

(3)米国通商代表部(USTR)の日本・韓国・APEC問題事務局に輸入に係る問題を知らせ、DIOおよびORCAと協議する。こうしたやりとりがDIOの是正措置に向けた関心を促す可能性がある。

(4)不当な輸入に係る問題および早急な改善の要望について、連邦議会議員や議会の当該委員会および小委員会に連絡を取る。

(5)食品輸入事業者団体に連絡を取り、当該問題の解決に向けた取り組みへの協力を呼び掛ける。

なお、OFW弁護士事務所は「これらの取り組みを行ったとしても、その効果は一朝一夕に表れるものではないかもしれないが、こうした問題の解決は、事業者が声を上げることが糸口になるといえる」としている。

(笠原健)

(米国)

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