一般最低賃金、12月から10.4%引き上げ

(メキシコ)

メキシコ発

2017年12月05日

国家最低賃金委員会(CONASAMI)は11月24日に一般最低賃金の改定を公示し、12月1日から施行した。前回と同様、インフレ考慮分に加えて、最低賃金労働者の購買力回復を目的にベースアップが実施され、日給は合計で10.4%引き上げられて88.36ペソ(約530円、1ペソ=約6円)となった。また、職種別賃金も3.9%上昇した。

インフレ分に加えベアを実施

CONASAMI(政府、組織労働者、民間企業の代表で構成)は賃上げの理由として、GDPなどの経済指標が当初の見込みを上回っていることや、貧困に関する数値指標の上昇を挙げている。最低賃金には特定の職種が対象としない「一般」と特定の職種が対象の「職種別」があり、今回はともに改定された。

一般最低賃金については、2017年1月1日付けで改定された現行の80.04ペソに5ペソのベースアップを行い、これにインフレ考慮分の3.9%をかけた3.32ペソを足して88.36ペソとなった。10.4%の引き上げとなる。2016年までの一般最低賃金はインフレのみを考慮していたが、前回からは最低賃金労働者の購買力回復を目的にベースアップを実施している。なお、CONASAMIはこのベースアップについて、あくまで最低賃金労働者の購買力回復が目的であり、職種別の最低賃金労働者など、その他の給与体系の労働者には適用されないとしており、通常の賃金交渉はインフレを反映した3.9%をベースに行われると解釈できそうだ。なお、職種別賃金はインフレ分の3.9%のみ引き上げられた(表参照)。職種の定義の詳細はCONASAMIのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに記載されている。

表 職種別の最低賃金(日給)(単位:ペソ)

左官工 114.95
薬局店員 99.99
ブルドーザーオペレーター 121.09
レジ係 101.97
バーテンダー 104.34
建て方大工 114.95
家具修理士 112.83
調理師 116.59
寝具工 105.51
タイルモザイク工 112.38
建設工、石こう工 106.35
履物皮革裁断工 103.20
縫製工 101.80
内職縫製工 104.84
駐車場運転係 107.14
一般貨物運転手 117.60
軽トラック運転手 113.88
クレーン運転手 109.00
しゅんせつ機運転手 122.33
家具職人、指物師 114.67
電気工事士 112.38
自動車電気系統工事士 113.60
発電機・モーター修理工 109.00
スーパー検品・棚卸し係 99.66
倉庫係 103.71
金物・塗料店員 106.07
ボイラー火手 109.90
ガソリンスタンド店員 101.80
鍛冶屋 110.74
自動車車体修理工 112.83
自動車注油工 102.69
養鶏係 98.43
農業機械オペレーター 115.59
木材用機械オペレーター 109.90
自動車機械工 119.18
履物製造工 103.20
美容師・理容師 107.14
自動車塗装工 110.74
建築物塗装工 109.90
クリーニング店アイロン工 101.97
配管工 110.12
無線技師 114.67
ホテルベッドメーキング係 99.66
自動車修理店員 103.71
家庭用電気機器修理工 108.54
記者 236.28
カメラマン 236.28
菓子・ケーキ職人 114.95
仕立て屋 115.59
秘書補佐 118.90
溶接工 113.60
食肉店員 107.14
自動車内装張替工 109.00
家具の布張替職人 109.00
ソーシャルワーカー 129.98
搾乳係 99.66
不寝番 101.80
家庭用機器販売店員 104.84
履物修理工 103.20

(出所)国家最低賃金委員会(CONASAMI)

2018年4月までに見直しの可能性も

CONASAMIは最低賃金改定と同時に、2018年4月までに経済状況次第で見直しを行う可能性があることを発表している。社会開発政策評議会(CONEVAL)が設定する必需品取得最低水準(Linea de Bienestar、95.24ペソ)に一般最低賃金を近づけることが目的だ。CONASAMIに参加している経済団体の全国工業会議所連合会(COPARMEX)は、今回の改定を評価しつつも、一般最低賃金を速やかに95.24ペソにするよう求めている(「エル・ウニベルサル」紙11月21日)。

(岩田理)

(メキシコ)

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