1. サイトトップ
  2. 世界のビジネスニュース(通商弘報)
  3. 商業賄賂の規定や営業秘密の保護を強化-改正不正競争防止法のポイントを弁護士に聞く-

商業賄賂の規定や営業秘密の保護を強化-改正不正競争防止法のポイントを弁護士に聞く-

(中国)

北京発

2017年12月06日

政府は11月4日、改正「不正競争防止法」を公布した。2018年1月1日から施行される。改正は1993年の制定以来初めて。インターネットを利用した不正競争行為を禁止する規定を追加するなど、その間の社会の変化を反映している。また、不正競争行為に対する規制がきめ細かく整備され、最高罰金額が300万元(約5,100万円、1元=約17円)に引き上げられるなど罰則が強化された。改正法のポイントについて、北京市大地法律事務所の熊琳弁護士に聞いた(11月14日)。

旧法制定以来の社会の変化を反映

(問)改正の背景は。

(答)中国では、市場経済の発展に伴い新たな業態やビジネスモデルが出現しており、1993年に施行された不正競争防止法(以下「旧法」)には、以下に挙げるような実情に合わない部分が多くみられるようになった。

(1)旧法には規定がなかった、競争秩序のかく乱や、明らかに不正競争の性質を帯びた行為が発生するようになった。

(2)旧法に列挙されていた不正競争行為の特徴が変化したことにより、当局の法執行が根拠不十分となっていた。

(3)法の執行の機能が十分に果たされておらず、民事損害賠償の金額もあまりに低かったことから、不正競争行為に対する取り締まりの効果が限られていた。

(4)独占禁止法、広告法、入札募集・入札法などの法律が制定されたことにより、これらの法と旧法との間に内容の重複や不一致が生じるようになった。

これらの理由から、国家工商行政管理総局が改正案を起草し、国務院の審議を経て、2017年11月4日の全国人民代表大会常務委員会の正式審議で可決され、改正が完了した。

(問)主な改正点は何か。

(答)まず、旧法規定中の「市場取引において」との文言を「生産経営活動において」に修正し、対象範囲を拡大した。また、「その他の経営者の適法な権益を損なう」についても拡張し「他の経営者または消費者の適法な権益を損なう」に修正した。

2つ目に、現行のその他の法律で既に規定されている内容を削除した。

3つ目に、商業賄賂に関する次の規定を強化した。

(1)取引の機会や競争上の優位を獲得する目的で、以下の対象への贈賄を行った場合、商業上の賄賂を構成するという点を明確にした。a.取引相手の従業員、b.取引相手から委託を受けて関連事務を請け負う事業者または個人、c.職権または影響力を利用して取引に影響を及ぼす事業者または個人。

(2)企業の従業員による贈賄行為は企業の行為と認定することを明確に規定したが、同時に企業の抗弁権についても規定した。すなわち、贈賄行為が従業員の個人的行為であることを企業が立証した場合、企業には責任がないと定められた。

4つ目に、「混同行為」(他社の商品か、他人と特定の関係があるものと誤認させる行為)の定義を拡大し、詳細に説明した。また、「企業名」や「氏名」の範囲を詳細に記述したほか、社会組織の名称、ドメイン名、ウェブサイト名、ホームページの無断使用を禁じる内容を追加した。

5つ目として、営業秘密の保護が強化された。賄賂や詐欺によって営業秘密を取得することも違法行為に当たると新たに規定した。また、「営業秘密の侵害と見なす」ことに関する規定についても詳しく定めた。

6つ目に、虚偽広告に関する内容(2015年の新広告法で規定された)を本法では削除して重複を解消するとともに、市場要素をより広範に考慮し、虚偽の宣伝の対象を「商品の性能、機能、品質、販売状況、利用者の評価、受賞歴など」に拡大した。

7つ目として、インターネットを利用した不正競争行為を禁止する規定を追加し、経営者は技術的手段を利用して利用者の選択に影響を与えたり、その他の方法によってその他の経営者が合法的に提供するネット商品またはサービスの正常な運行を妨害、破壊する行為をしてはならないと規定した。

8つ目は、法的責任に関して以下の点を改正した。

(1)現場調査、質問、資料の調査・取得、財産の差し押さえ・押収、銀行口座照会を行う権限を当局が持つことを明確に規定した。

(2)行政処分の適用緩和規則を設定した。違法行為の危害の結果などを自ら解消するかまたは軽減させるなど法定の状況が認められる場合は法による処分や行政処分を減軽する。違法行為が軽微なものであり、速やかに是正して危害をもたらさなかった場合には行政処分を行わない。

(3)「民事賠償優先の原則」を設け、経営者が民事賠償責任を負うと同時に罰金を納付することになったものの、両方を支払うには財産が不足している場合には、民事賠償責任を優先して負担するとした。

(4)「信用懲戒制度」を設け、経営者が不正競争行為によって行政処分を受けた場合、監督検査機関は信用記録を取り、関連する法律、行政法規の規定により公示するとした。

求められるコンプライアンスの一層の順守

(問)日系企業にどういった影響があるか。

(答)新法の施行は、より良好で健全な市場競争環境の形成に貢献するものであり、日系企業は新法を活用することにより、他企業の不正競争行為に対抗でき、ひいては中国の市場においてより公平な競争上の地位を獲得することにもつながり得る。

一方、日系企業の経営活動には、より厳しい制限が課されることになった。特に信用評価システムの導入により、企業に何らかの違法行為があれば、その後は甚大なマイナスの影響がもたらされる。このため企業には、新法の内容に十分留意し、コンプライアンス上の義務を確実に履行することが一層求められる。

(日向裕弥)

(中国)

通商弘報 18247d63a72e10aa

ご質問・お問い合わせ

よくあるご質問

ログインやメール版通商弘報などのよくお寄せいただくご質問とそのご案内をまとめました。
お問い合わせをいただく前にご確認をお願いします。

通商弘報ご購読・ご利用に関するお問い合わせ

ジェトロ・メンバーズの方

ジェトロメンバー・サービスデスク(会員サービス室)

  • フリーダイヤル(平日9時~12時/13時~17時)
    Tel:0120-124-344
  • 通常ダイヤル
    Tel:03-3582-5176 Fax:03-3582-4572
  • E-mail:jmember@jetro.go.jp

「通商弘報」定期購読の方

ジェトロ海外調査計画課
Tel:03-3582-3518
E-mail:kouhou@jetro.go.jp