右ハンドル車の輸入、2018年から重機除き不可能に

(ミャンマー)

ヤンゴン発

2017年11月13日

ミャンマー車両輸入管理委員会は10月16日、2018年以降輸入できる自動車について、通達(No.1/2017)を発表した。日本から大量に輸入されていた右ハンドル車は重機のみ認められ、乗用車やバスなどは左ハンドル車に限定される。

日本の中古車が大量に輸入され渋滞や事故の要因に

ミャンマーでは車両は右側走行だが、2011年の中古車輸入規制の大幅緩和により右ハンドルの日本の中古車が大量に輸入され、中央統計局によると、2011年度に25万台だった乗用車の登録台数は2015年度には46万台に増えた。これに伴い、特にヤンゴンなどの都市部で渋滞が深刻になり事故も増えたことから、政府は2017年から右ハンドル車の輸入を規制し始め、その動向が注目されていた。今回の通達によると、2018年からは重機を除く自動車は左ハンドルに限られ、事実上、右ハンドル車の輸入は認めない方針だ(表参照)。

表 2018年以降の輸入可能車
項目 車種 年式 ハンドル 備考
委託販売を含めた古い車両の廃車
(スクラップポリシー)による輸入
乗用車、トラック、バス 2014~2018年 乗用車は排気量1350cc以下
バスはミニバス、 都市バス、高速バス
個人輸入 乗用車 2016~2018年 排気量1350cc以下
トラック、バス 2014~2018年 バスはミニバス、 都市バス、高速バス
寄付も含めた会社や団体の輸入 乗用車 2016~2018年
業務用車、宗教目的車、バス 2014~2018年 バスはミニバス、
都市バス、高速バス
重機 2009~2018年 ハンドル指定なし
消防車、救急車、霊きゅう車 2007~2018年
政府による輸入 乗用車 2016~2018年
業務用車、バス 2014~2018年 バスはミニバス、都市バス、高速バス
重機 2009~2018年 ハンドル指定なし

(出所)通達(No.1/2017)

古い車両を廃車にして新たに輸入する方式(スクラップポリシー)の場合(委託販売を含む)は、乗用車(排気量1350cc以下)、トラック、バス(ミニバス、都市バス、高速バス、以下同じ)であれば2014~2018年式の左ハンドル車のみ輸入可能とされている。個人輸入の場合には、乗用車(1350cc以下)は2016~2018年式の左ハンドル車とされ、トラックとバスは2014~2018年式の左ハンドル車とされている。

会社や団体の輸入(寄付も含む)については、乗用車は2016~2018年式の左ハンドル車のみが対象となっている。業務用車と宗教目的車は2014~2018年式の左ハンドル車に、消防車、救急車、霊きゅう車、バスについては、2007~2018年式の左ハンドル車に制限されている。一方、重機については2009~2018年式に限定されているものの、ハンドルの左右の指定はない。

政府が輸入する場合は、乗用車は2016~2018年式、業務用車とバスは2014~2018年式の左ハンドル車に制限されている。重機については会社や団体が輸入する場合と同様、2009~2018年式に制限されているが、ハンドルの指定はない。

政府への寄付目的で輸入される消防車や救急車については2004年式以降の車両に限り可能、掘削機やブルドーザーなど公道で使用しない車両は製造後15年以内に限り輸入できる。また、国際機関や団体については、スクラップポリシーあるいは個人が輸入し販売されている車を購入できるとされている。

右ハンドル車の輸入規制に伴い、国内の中古車は流通量が制限され価格が上昇傾向にある。国産車(新車)との価格差が縮まったことで、新車に対する需要が伸びており、モデルによっては納入に数カ月かかるものも出ている。

(堀間洋平、ニェンチェンミン)

(ミャンマー)

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