国外提供分は再び源泉徴収の課税対象外に-非居住者による技術サービス料-
(マレーシア)
クアラルンプール発
2017年11月16日
財務省は10月24日、非居住者によりマレーシア国外で提供された技術サービス料の支払いを再び源泉徴収税の課税対象外とする省令を出した。2017年税制改正により、国内での技術サービスに加え、国外分の支払いにも課税されることになり、日系企業の負担増となっていた。対象外となるのは9月6日以降の取引から。
2017年税制改正での課税対象化を省令で見直し
マレーシアでは1967年所得税法により、非居住者に対する利子、ロイヤルティー、技術サービス料、機械設置に係る据え付け手数料、動産の賃貸料、請負工事代金のサービス部分など特定の支払金に対して源泉徴収税が課税される。
財務省令〔Income Tax(Exemption)(No.9)Order 2017〕によると、非居住者によりマレーシア国外で提供された技術サービス料の支払いが課税対象外となる。技術サービスは、所得税法
第4A(i)および(ii)条に規定されたもので、対象外となるのは9月6日以降の取引からだが、9月6日がサービスの提供日か費用の支払日かは明確でない(今後発表される見込み)。
この技術サービス料にかかる源泉徴収税は、2002年9月から所得税法第15A条に基づき、サービスの提供地がマレーシア国内の場合のみ課税対象とされていた。税率は10%。しかし、2017年税制改正時に国外で提供されたサービスに対する支払いも課税対象となり、日本の本社などに技術サービス料を支払っていた日系企業にとっては負担増となっていた。
今回の省令で、国外で提供されたサービスに対する課税は免除となったものの、日系企業からは、日本・マレーシア租税条約に技術サービス料に関する課税範囲が規定されていないことから、将来再び課税対象となる可能性を懸念する声も上がっている。
(田中麻理)
(マレーシア)
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