最高裁が異議申し立て却下、ケニヤッタ大統領の再選確定

(ケニア)

ナイロビ発

2017年11月22日

10月26日に実施された大統領選挙の再投票で現職のケニヤッタ氏が当選したとする選挙管理委員会の発表を受け、人権活動家らが最高裁判所に異議申し立てを行ったが、最高裁は11月20日にこの訴えを退け、同氏の再選が確定した。野党連合(NASA)は現政権を支持しないとして、引き続き抗議を続ける構えだ。

人権活動家が再投票の有効性に異議

人権活動家らが、10月26日の大統領選挙再投票の有効性について、最高裁に2件の異議申し立てを行っていたが、最高裁は6人の判事の全会一致で「異議申し立てには法的根拠がない」と申し立てを却下した。裁判長は、具体的な判決理由については後日発表するとしている。

NASAは判決を受け、「現政権は違法であり、支持しない」とする声明を出しているものの、具体的にどのような行動を取るのか現時点では明らかにしていない。選挙後、NASAは「平和的な手段で抗議を続ける」と述べており、支持者に平和的デモやストライキのほか、与党を支持する企業の製品の不買運動を呼び掛けており、今後も抗議行動を継続していくと見込まれる。既に通信大手サファリコム、食用油メーカーのビドコ、乳製品メーカーのブルックサイドの製品・サービスが指定されており、今後も順次、対象が拡大されていく可能性がある。

大統領就任式は11月28日を予定

最高裁の判決を受け、ケニヤッタ大統領は11月28日に就任式を行う予定だ。就任式では、新政権の方針が発表され(2017年8月3日記事参照)、その後2期目の組閣が行われる予定だ。英国、南スーダン共和国、ウガンダ、バングラデシュなどはケニヤッタ大統領に祝電を送付していると大統領府は発表している。

他方で、野党支持者が多いケニア西部およびナイロビ市内のスラムにおいて、判決を不服とする野党支持者らによる暴動が発生し、警官隊との衝突で多数の死傷者が出ている。在ケニア日本大使館は、急激に治安が悪化していることから不要不急の外出を控えるよう注意喚起を行った。現地紙などは、判決を不服とする野党支持者らがキスム郡の警察署に放火したほか、サファリコムの通信機器を破壊したと報じている。ナイロビ市内のスラム以外では比較的平穏が戻りつつも、今後予定されているNASAのオディンガ代表の声明次第では、野党支持者による暴動がさらに過激化・全国化する恐れもあり、引き続き予断を許さない情勢だ。

(島川博行)

(ケニア)

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