中国での販路拡大には商品ごとのマーケティングが重要-中国国際中小企業博覧会でジャパンパビリオン設置-

(中国)

広州発

2017年11月15日

広東省広州市で10月10~13日、「第14回中国国際中小企業博覧会」が開催され、日系および日本企業27社が中国での販路開拓を目指して出展し、現地消費者向け自社製品をPRした。日本を訪れる中国人観光客は2017年1~9月で556万人に達し、過去最高を記録している。日本の食品、日用品、化粧品など一般消費者向け製品の人気が高まる中、日系・日本企業は中国での販路開拓の動きを強めている。

国内外から2,925社が6,282ブースに出展

10月10~13日に広州市の保利世貿博覧館で、総合見本市としては最大級の第14回中国国際中小企業博覧会(注)が開催された。国内外から2,925社が6,282ブースに出展し、4日間で延べ10万人(うち、バイヤーは30カ国・地域から2万人)が来場した。日本を含め国外からの出展者は30カ国・地域の649社で、ブース数は1,028に上った。

10月10日の開幕初日には、胡春華・広東省共産党委員会書記(当時)がVIP巡覧に参加し、「貿易投資や科学技術、教育、人文科学などの分野で、連携強化、中小企業間の情報・技術・人材交流での協力のさらなる深化、ウィンウィンな関係を実現するため、中小企業博覧会をプラットフォームとして活用してほしい」と、同博覧会への期待を述べた。

日系企業の多くが食品や化粧品などBtoC向け

ジェトロが同博覧会内に設置したジャパンパビリオンには、中国に生産拠点を持つ日系企業や中国への輸出を目指す日本企業など27社が出展した。

中国の消費者の間で「安全」「健康」志向が高まる中、日本製品への関心も高まっており、多くの消費者がジャパンパビリオンへ来場した。ジャパンパビリオンの出展者の多くも、食品、化粧品、日用品などBtoC目的の企業だった。商談件数はBtoBが343件、BtoCが2,592件に達した。出展した日本企業からは「自社ブランドのPRができた」「中国消費者のニーズを把握できた」「華南地域での販路開拓の契機になった」などの声が聞かれ、中国での販路開拓に向け、確かな手応えを感じていた。

写真 第14回中国国際中小企業博覧会のジャパンパビリオン(ジェトロ撮影)

消費者ニーズに合わせた商品調達に注力

梅酒の試飲・販売を行った企業は、女性客をターゲットとした商品のデザインやブースを作り、糖分控えめで体に優しい商品をアピールした。また、化粧品を扱う企業は、「有機」「化学物質ゼロ」をアピールするなどの工夫をし、人気を集めた。

 写真 中国人消費者の関心を引くブース作り(左は酒類の展示、右は食品のブース)(ジェトロ撮影)

日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2017年1~9月の訪日中国人客は556万人に達し、過去最高を記録した。訪日経験のある中国人の間で、日本製品への関心が高まってきている。また、日本の人気商品は、中国の越境電子商取引(ECサイト)で手に入ることが増え、消費者の好みや嗜好(しこう)も細分化している。

華南地域で日本食品の卸売りを行う企業の責任者は「数年前の中国では、日本製品の消費者は富裕層に限定されていたが、現在は中間所得層がターゲットとなっている。そのため、中間所得層のニーズに合わせた商品調達に注力している」と話す。

拡大する中国市場で販路開拓を試みる日本企業が増加する中、ターゲット層を決めて、製品、デザイン、小売価格、機能性、プロモーション手法などにおいて差別化された販売戦略が求められている。

(注)中国国際中小企業博覧会とは、国内外の中小企業を対象に「展示、貿易、交流、協力」を目的とした、中国国務院の認可を受けた大型国際展示会で、中国の中小企業のレベルアップを目指している。今回は、中国の工業情報化部、国家工商行政管理総局、広東省政府および南アフリカ共和国企業発展部、国連工業開発機関(UNIDO:United Nations Industrial Development Organization)が主催。ジェトロは2007年からジャパンパビリオンを出展しており、今回で11年目となる。

(張琳荷)

(中国)

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