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電子商取引が急成長、2大ECサイトが牽引

(ナイジェリア)

ラゴス発

2017年10月26日

ナイジェリアの電子商取引(EC)市場は、2012年設立のECサイト、ジュミア(Jumia)とコンガ・ドット・コム(Konga.com)が牽引しているほか、モール・フォー・アフリカ(Mall for Africa)など欧米商品に特化した越境ECサイトも参入している。他方で、不況の影響や物流などの課題もあり、各社が成長を謳歌(おうか)するのはこれからだ。

2011~2016年で平均75.2%の急成長

ナイジェリアの小売市場におけるECの割合は、まだ1%に満たない。現在でも消費の主流は、いわゆる青空市場や、パパママショップと呼ばれるような屋外・路上の個人事業主や小規模店舗だ。中間層や富裕層でもこうした流通チャンネルで食品や雑貨を購入する光景は、アフリカならではだ。

それでもECは過去数年、店舗型の小売業を大きく上回る速度で急成長している(表1参照)。背景にあるのは、インターネットの普及だ。推計によると、ナイジェリアのインターネット利用者数は世界7位で、近年中に1億人に達する勢いだ(表2参照)。50%に迫る普及率(46.1%)はセーシェル(57.9%)、南アフリカ共和国(52.0%)に続くサブサハラアフリカ3位で、域外の人口大国のインドネシア(20.4%)、パキスタン(17.8%)、バングラデシュ(13.2%)などより、はるかに普及している。

表1 ナイジェリアの小売業の形態別売上高(単位:10億ナイラ、%)
分類 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2011~2016年
金額 金額 金額 金額 金額 金額 前年比 平均伸び率
店舗型小売業 5,853.5 6,581.1 7,585.9 8,653.8 9,676.9 10,570.4 9.2 12.5
非店舗型小売業 14.9 17.2 23.9 38.3 63.3 72.6 14.6 37.2
階層レベル2の項目 EC 2.9 3.2 7.9 17.9 42.6 48.6 14.0 75.2

(注)1ナイラ=約0.31円。
(出所)ユーロモニター・インターナショナル

表2 インターネット利用者数の上位10カ国(単位:人、%)
順位 国名 ユーザー数 伸び率 普及率
1 中国 721,434,547 2.2 52.2
2 インド 462,124,989 30.5 34.8
3 米国 286,942,362 1.1 88.5
4 ブラジル 139,111,185 5.1 66.4
5 日本 115,111,595 0.1 91.1
6 ロシア 102,258,256 0.3 71.3
7 ナイジェリア 86,219,965 5.0 46.1
8 ドイツ 71,016,605 0.6 88.0
9 英国 60,273,385 0.9 92.6
10 メキシコ 58,016,997 2.1 45.1

(注)2016年7月1日時点の推計値。伸び率は前年同日比。
(出所)Internet Live Stats

とりわけ、携帯端末からのアクセスが多いのが特徴だ。低所得層が人口の大半を占める中、より低価格な携帯端末でインターネットに接続する利用者が多いためだ。インターネット分析サイトのスタット・カウンターによると、ナイジェリアでは携帯端末からのインターネット接続が全体の80.3%に達し、サブサハラアフリカ平均の66.4%、世界平均の52.3%を大幅に上回る。

インターネットの普及や豊富な人口に裏打ちされて、今後の成長にも期待が集まる。英国調査会社ユーロモニター・インターナショナルは、向こう5年間のECによる小売りの年平均成長率を21.3%と推計(売上高ベース)している。急成長した2011~2016年の平均75.2%成長よりは大きく下回るが、店舗型小売業の見通し4.0%を大きく上回る。米コンサルティング会社EIUカンバックの分析では、ナイジェリアがアフリカで最も有望なEC市場と結論付けられている。

スタートアップ企業が市場を創出

牽引するのは、スタートアップ企業だ。業界最大手はジュミアで、アジアなど新興国のIT系スタートアップ企業に投資するロケット・インターネット(ドイツ)が2012年に設立した。現在、アフリカ16カ国で事業を展開し、エジプトやケニア、モロッコなどではナイジェリアと同じく国別のECサイトを運営している。2016年3月にはフランス保険大手アクサや米金融大手ゴールドマン・サックスなどからの出資も得て、アフリカ大陸で初めてのユニコーン企業(時価総額10億ドル以上の未上場企業)となった。

ジュミアを追うのは、コンガ・ドット・コムだ。同じく2012年に米ハーバード・ビジネススクールなどで学んだナイジェリア人起業家シム・シャガヤ氏が設立し、米小売業界などで普及している11月末の割引セール「ブラックフライデー」をいち早く取り入れるなどして消費者にアピール。これまでのところ、ジュミアとは対照的に、国内市場に特化する戦略を採用している。

いずれも一部の商品は自社で在庫を持ち直接販売しているが、大半の商品はジュミア、コンガのプラットフォームに参加する多数の小売業者が販売している。配送は、一部を宅配業者に委託しているが、アフリカの困難な物流事情を考慮し、自社でも集荷拠点と配送車両を保有している。

売れ筋商品は、携帯電話、衣料品・靴・アクセサリーなどのファッション関連商品、ノートパソコン、タブレット、ベビー用品、キッチン用品、家電など。決済はクレジットカードも増えつつあるが、根強い現金主義を反映して現在も代金引き換えが中心だ。ジュミア、コンガとも、カード決済に不安を感じる消費者の購買を促すため、銀行と提携した独自の決済システムを導入している。

2大ECサイト以外にも、オンラインショップに不安を抱く顧客も取り込むため全国の主要都市に実店舗も展開する2015年設立のユダラ(Yudala)や、クラシファイド(個人同士の売買掲示)大手で2014年設立のジジ・ドット・エヌジー(Jiji.ng)のほか、飲食や旅行手配などに特化した専門ECサイトが多数ある。

越境ECも徐々に拡大

急成長するECだが、不透明で時間のかかる通関手続きや貧困な物流インフラなどもあり、ナイジェリア向けに配送する海外のECサイトは1、2年前までほとんどなかった。こうした中、米英などのECサイトとナイジェリアの顧客の間に立って、代金決済と配送の機能を仲介するECサイトも誕生している。

仲介型越境ECサイトの最大手は、モール・フォー・アフリカだ。米アマゾン・ドット・コムや、インターネットオークション世界最大手イーベイ(eBay)などの有力プラットフォームのほか、ラルフ・ローレンやザラ(ZARA)といったファッションブランドの販売サイトなどとも提携している。各提携先で購入された商品は米英の集荷センターで集約し、航空便でナイジェリアに輸送、仕分けしてから各購入者に配送する。ジュミアやコンガと同じく、銀行と提携して、クレジットカードを使用しない独自決済システムも運用している。

英国のUK2MEロジスティクスも、類似のサービスを提供している。ナイジェリアの消費者は同社が提携する英米のECサイトで購入し、一律10%の手数料と通関手数料を同社に支払い、商品を受け取る。代金決済は口座振り込みや第三者決済で行う。

最近ではアマゾン・ドット・コムも、通関手続きを代行する「アマゾン・グローバル」は導入していないものの、関税や通関手数料を購入者が支払う方法で、ナイジェリア向けに配送を行っている。他方でジュミアは、アマゾンに先んじて、海外の小売業者からの配送と輸入手続きをジュミアが代行する「ジュミア・グローバル」を導入している。

これらを通じて、越境ECも徐々に広がりつつあるが、日本の事業者がナイジェリア向けに越境ECサイトで商品を販売するには、まだハードルが高そうだ。モール・フォー・アフリカの場合、同社との業務提携と英米の集荷センターを通じた取引が前提となるため、英米に拠点がない限りは現実的ではない。ジュミア・グローバルも、日本は対象国になっていないため、事業者の責任でナイジェリア国内のジュミアの集荷センターまで輸送しなければならないが、購入者による関税や通関手数料の直接払いが想定されていないため、これも現実的ではない。こうしたことから、ジュミアやコンガで購入できる日本の商品は、全てナイジェリア国内に拠点を持つ事業者が販売しているのが実態だ。

購買力の回復とコスト削減が課題に

今後も成長が見込まれるナイジェリアのEC市場だが、課題も多い。過去2年間の景気低迷と通貨ナイラの下落で、消費者の購買力は減退しており、2016年のECによる小売りの前年比伸び率は14.0%と、2011~2016年平均の75.2%を大幅に下回った。

未発達な郵便制度や激しい渋滞などに起因する配送コストも大きな課題だ。短期間で確実な配送を実現して利用者を獲得するためには、物流部門の大半も自社で管理するしかなく、利益を圧迫する。

ロケット・インターネットの2017年上半期決算報告によると、同期間のジュミアの売上高は、前年同期の3,296万3,000ユーロから3,749万1,000ユーロに増加したものの、EBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)は3,801万6,000ユーロのマイナスから5,251万3,000ユーロのマイナスに悪化している。ロケットのキンペル最高財務責任者(CFO)は、ジュミアが収支均衡に到達するのは2019年になるとの見方を示している(「ガーディアン」紙2017年9月27日)。

ナイジェリアECは厳しい事業環境にあるが、スタートアップが牽引して市場が拡大しているのは確かだ。景気底入れを受けて、各社が成長軌道に乗れるか注目される。

(宮崎拓)

(ナイジェリア)

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