2016年の環境関連税収は前年比3%増、PHV優遇廃止も影響

(オランダ)

アムステルダム発

2017年10月13日

オランダ統計局(CBS)によると、2016年の環境関連税収は前年比3.0%増の253億ユーロとなった。天然ガス、電力、ガソリンなどの消費に課されるエネルギー税が10.8%、自動車取得税(BPM)が6.2%増加した。

環境税のうちエネルギー税収は2桁の伸び

オランダの環境関連税は燃料消費税、自動車保有税、エネルギー税、自動車取得税(BPM)などの環境税と、ごみ収集や地下水、下水道などの公共サービスに対する廃棄物税・水道税で構成されている。CBSの8月14日の発表によると、2016年の環境関連税収253億ユーロのうち、環境税の収入は207億ユーロ(表参照)、廃棄物税・水道税は46億ユーロだった。

表 環境税収の内訳(単位:億ユーロ、%、△はマイナス値)
種類 2015年 2016年 前年比
燃料消費税 78.7 80.9 2.8
自動車保有税 55.4 55.8 0.7
エネルギー税 46.5 51.5 10.8
自動車取得税(BPM) 14.6 15.5 6.2
その他 5.4 3.4 △ 37.0
合計 200.6 207.1 3.2

(出所)オランダ統計局(CBS)

環境関連税収は2011年の239億ユーロから5年間で14億ユーロ増加した。図のとおり、家計、産業両部門とも増加傾向にあるが、税収総額に占める割合は、2011年の17.1%から2016年は15.3%に低下した。

 図 環境関連税収の負担部門別推移

2016年の環境税収入207億ユーロのうち、ガソリン、ディーゼルや液化石油ガス(LPG)などの消費に課税される燃料消費税が80億9,000万ユーロ、自動車を所有・維持する際にかかる自動車保有税が55億8,000万ユーロだった。エネルギー税(注1)は51億5,000万ユーロで、前年比では10.8%と環境税収入の中で最も増加した。自動車購入時に課税される自動車取得税(BPM、注2)は6.2%増加の15億5,000万ユーロとなった。政府は2025年までのガソリン車、ディーゼル車やハイブリッド車〔プラグインハイブリッド(PHV)を含む〕の販売停止に向け、電気自動車(EV)の購入者に対する補助金制度などの取り組みを強化している。BPMについてはPHVに適用されていた企業が従業員に貸与する「カンパニーカー」に対する優遇措置が2016年に廃止されて従業員の所得と見なされるようになったため、家計部門からのBPM収入は前年比28%増となった一方、産業部門からの収入は7%減となった。

また、2016年の石炭税収入(表の「その他」に含まれる)は300万ユーロと、2015年の1億9,500万ユーロから急減した。2013~2015年に石炭税を課されていた発電会社が、環境対策のための石炭税課税は効果がないと廃止を求めて提訴。裁判所が2016年にこの主張を認める判決を下し、大幅に減少した。

オランダでは1990年代後半に、税制の「グリーン化」(環境負荷に応じた税の差別化)として環境税制改革が行われた。EU統計局(ユーロスタット)によると、2015年の税収入と社会保障拠出金収入の合計に占める環境関連税収の割合はEU平均の6.3%を上回る9.0%だった。最も高いのはクロアチア(10.9%)、低いのはベルギー(4.7%)で、オランダはEU28カ国の中で7番目に高い。

(注1)エネルギー税は電気と天然ガスの使用に対して課税される。

(注2)BPMは自動車の二酸化炭素(CO2)排出量によって税率が決まる。

(大滝泰史)

(オランダ)

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