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暮らしを良くする「ブリティッシュ・ドリーム」の再生誓う-保守党が年次党大会開催(2)-

(英国)

ロンドン発

2017年10月18日

与党・保守党の年次党大会で、テレーザ・メイ首相は10月4日に演説を行い、目指す政策について説明、政府として社会・経済面での試練の克服に努め、将来に向けて国民の暮らしぶりが良くなるよう「ブリティッシュ・ドリーム」を再生させると誓った。保守党大会報告の2回目。

中道路線の継続を表明

2016年6月の国民投票におけるEU離脱の選択で明らかとなった格差に対する不満を解消すべく、メイ首相は同年の党大会から「全ての人のための国家」をスローガンに、党の路線を労働者階級も含む中道にシフトする方針を打ち出している。メイ政権は今回もそのスローガンを掲げ、中道路線の継続を表明した。そして、10月4日の演説でメイ首相は、社会や経済面での試練の克服に努め、将来に向けて国民の暮らしぶりが良くなるよう「ブリティッシュ・ドリーム」を再生させると誓った。

教育については、英国の南北で教育機関の質に格差があるとし、北部を中心に毎年100校のフリースクール(無料の国営教育機関)を新設していくことや、技術者不足の状況を解消し、若年層の就業機会を高めるために、新型の16~19歳向け技術訓練校をイングランドの主要都市に新設することなどの支援策を表明。また、大学の授業料支払いで学生の債務状況が悪化している現状を踏まえ、大学への資金拠出、学生融資制度の見直し、2018年の授業料値上げ凍結を発表した。

住宅不足の問題については、10年前は25~34歳の若年層のうち59%が家を買えていたが、現在では住宅不足と不動産価格の上昇により38%まで下落している状況を踏まえ、追加で100億ポンドを投じて政府の住宅購入支援策「Help to Buy」スキームを拡大し13万世帯以上の住宅購入を支援することや、住宅建設に20億ポンドを追加して合計90億ポンドを投じることなどを発表した。

労働党の社会主義的政策を批判

保守党は直近の世論調査で、全体の支持率や若年層の支持の取り込みで労働党に大きく水をあけられている。今回の政策はこうした焦りの表れで、それ故に政策的にも労働党に似通ってきているとの指摘もある。一方で、財政面ではバランスアプローチの継続を表明するなどしており、実現性を疑問視する声も多い。

ライバルの労働党は、大学の授業料無償化や、郵便、鉄道、エネルギー分野などの民営化された企業を再び国・公営化するなどといった社会主義的な政策を数多く掲げ、経済成長や社会から取り残された若年層の支持を引き付けている。こうした中、今回の保守党大会でメイ首相やフィリップ・ハモンド財務相らは、労働党の政策を時代遅れで危険だと痛烈に批判し、市場経済こそが英国に繁栄をもたらすとあらためて主張した。

しかし、メイ首相は4日の演説で市場経済が好ましいとしつつ、それが機能しない場合はいつでも政府として介入をいとわないとも述べている。市場経済が機能していない一例として現在の英国のエネルギー市場を挙げ、独占や既得権益によってエネルギー価格が高騰し、高齢者など社会的弱者の生活が圧迫していると指摘。エネルギー価格に上限を設ける法案を議会に提出する考えを示した。

英国産業連盟(CBI)は、ハモンド財務相とメイ首相の演説後にそれぞれコメントを発表した。ハモンド財務相の演説については、自由市場の重要性を訴えたことや格差解消のための政府の取り組みを評価しつつ、「政府の演説は(現状の)診断としては良いが、アクションが弱い」と批判した。さらに、「現在直面している問題に正直になる時だ。経済は脅威にさらされており、G7諸国で最上位から最下位に転落した。消費者やビジネスの信頼感は低下し、生活水準の低下のリスクに直面している。インフレ圧力は家計を圧迫している」と警告した。また、メイ首相が示したエネルギー料金の値上げに上限を設けるとの考えには、「最良の回答ではない」と反対を表明し、「国家による介入」だと警戒感を示した。

(佐藤丈治)

(英国)

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