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貿易円滑化や電子商取引の分野で進展-第49回ASEAN経済相会合-

(ASEAN)

バンコク発

2017年10月19日

フィリピン・パサイ市で9月7日に開催された第49回ASEAN経済相会合では、特に貿易円滑化分野で指標作成やASEANシングルウインドーなどの進展があったほか、電子商取引分野でも新たな調整委員会が設立されるなどの成果がみられた。


経済統合全般では新規性欠く

ASEAN経済相会合は、ASEANの経済統合に関する実質的な意思決定機関だ。各国の所管省庁は商務・貿易のみ所掌している国(カンボジア、タイ、インドネシア)、それらに産業関連が含まれる国(ラオス、マレーシア、フィリピン、シンガポール、ベトナム)、その他の国(ブルネイ、ミャンマー)とさまざまだが、ASEAN経済統合のアジェンダは政府内で上位に位置付けられ、所管省庁に国内調整を行う権限が与えられている。同会合では、物品貿易、投資、サービス、電子商取引、人の移動、基準、競争政策、知的財産、消費者保護、統計、格差是正、中小・零細企業支援などさまざまな分野の議論が行われた(添付資料参照)。

経済統合プロセス全般では、ASEAN経済共同体(AEC)の「ブループリント2025」の取り組みの監視・評価の枠組み実施、AEC2025の目標を達成するための統合戦略行動計画(CSAP)の採択・公表に対して評価がされた。また、中小・零細企業のグローバルバリューチェーン(GVC)参入を促す規制慣行の在り方の取り決めも報告された。ただし、監視・評価の枠組みは2016年の経済相会合で採択され、CSAP20172月に採択されており、新規性に欠ける内容となった。

物品貿易分野では、関税分類で着実な進展がみられた。ASEANでは2003年に署名された議定書に基づき、HSコードを8桁水準で調和する「ASEAN統一関税分類(AHTNASEAN Harmonized Tariff Nomenclature)」が導入されているが、HSコードそのものが11日に2017年版に移行したことにより、AHTN2012年版から2017年版に変更された。それに伴い、AHTNを用いて分類されているASEAN物品貿易協定(ATIGA)の関税削減スケジュール表や付属する情報技術協定(ITA)のリストについてもAHTN2012からAHTN2017へ、またATIGAの品目別原産地規則についてもHS2012からHS2017へ、それぞれ変更する作業が行われており、201811日以前の作業完了に向け努力する旨が示された。

原産地自己証明制度導入はまた見送り

一方、日本企業の関心も高い、ATIGAの原産地の「自己証明制度」導入については、今回の経済相会合でも見送られた。同制度は当初2015年末までの導入を目指していたが、「対象をどの程度広げるかなど、政治的決定が求められる要素が残されている」(ASEAN事務局パナダ上級職員)ことから、導入時期が何度も延期され、現在は明確な目標時期を示せない状態となっている。

また貿易円滑化措置については、一元的な通関手続きを実現するASEANシングルウインドー(ASW)の導入に向け、情報の秘匿性や所有、電子的書類の法的効力、紛争解決手段などを定めた「ASW実施のための法的枠組み協定」が81日に施行されたことが報告された。そのほか、電子的書類の交換を認めるため、ATIGAの運用上の証明手続き(OCP)が改定されるなど、法的枠組み面で進捗がみられた。また恒常的に事業を管理する事業マネジメントオフィス(PMO)をASEAN事務局内に設置。既に電子的な交換実験を行っている原産地証明書(eフォームD)に加え、植物検疫証明書、税関申告書類についても交換実験を行うことを検討するとした。

電子商取引分野の枠組み作りに注目

他方、投資とサービス貿易分野に関しては主だった成果は報告されていない。投資についてはASEAN包括的投資協定(ACIA)第3議定書の署名手続きの進捗報告にとどまった。またサービス貿易については、段階的に自由化が図られているASEANサービス枠組み協定(AFAS)の最終段階となる第10パッケージ交渉が行われていることが報告され、2018年春に開催されるAEMリトリート会合までの交渉妥結に向け努力するとした。AFASの規律を高めたASEANサービス貿易協定(ATISA)については、2017年末までに実質合意を目指すこととしている。

電子商取引分野では、ASEANにおける統合プロセスを実質的に議論するASEAN電子商取引調整委員会(ACCEC)の設立が歓迎されたほか、10の横断的な分野(インフラ、教育・技術、消費者保護、法的枠組みの近代化、電子取引の安全性確保、決済システム、貿易円滑化、競争、物流、電子商取引枠組み)を含む「電子商取引作業プログラム20172025」が採択された。2018年にASEAN電子商取引協定の準備作業を行うことも示されており、同分野で統一的な取り決めのなかったASEANにおいて、どのようなルールが整備されるか注目される。

(蒲田亮平)

(ASEAN)

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