日系企業とのマッチング、投資に期待感-成長期を迎えたインドネシアのスタートアップ企業(1)-

(インドネシア)

ジャカルタ発

2017年10月10日

ジェトロは9月12日、インドネシア通信情報省と共催で、インドネシアのスタートアップ企業と日系企業のマッチングイベント「NAVIGATE JAKARTA」をジャカルタで開いた。インドネシア企業41社と日系企業55社が参加し、eコマース、フィンテック、物流分野のスタートアップ企業から関心を集めた。インドネシアのスタートアップ企業について報告する連載の前編。

情報通信分野の政策を紹介

ルディ・アンタラ通信情報相は開会あいさつで、政府が推進するデジタルエコノミーに関するロードマップによる物流コスト削減、インターネットの安定・高速化などインフラの改善、スタートアップ企業向けファンドスキーム組成などについて紹介した。続く地場スタートアップ企業による講演では、ライドシェアアプリのゴジェック(GOJEK)のウィリアム・タヌウィジャヤ最高経営責任者(CEO)、eコマース大手のトコペディア(Tokopedia)のアントニー・デ・カルボネル最高商務責任者(CCO)が登壇した。ウィリアム氏は自身の事業立ち上げ時などの経験を踏まえ、「インドネシアは世界で最もデジタル産業の成長が速い。他方、中小企業などは金融機関へのアクセスもなく、ファンド機能が弱い。そのようなセクターへの投資が今後の成長のカギだ」と述べた。

ユニコーン目指す企業41社が参加

同イベントには、「ユニコーン」(注)を目指す地場スタートアップ企業41社が参加し、日本企業に対して各社1分間の事業紹介を行った。これら企業の特徴は、いずれも情報技術を用いて新たなサービスを提供することだ。特に、eコマース、フィンテック、物流分野で事業展開を図る企業が多くみられた(インドネシアスタートアップ企業リストPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)参照)。

イベントに参加した日本企業からは「地場の業界について聞くのが初めてだったので、とても新鮮で新たなビジネスチャンスがあることが分かった」「自社のネットワークだけでは出会えなかったスタートアップ企業と出会えた」「事業連携を行うことによりマーケットへリーチできる可能性を感じた」といった声が聞かれた。

インドネシアのスタートアップ企業の現状について、国内7カ所でコワーキングスペースを運営するEVハイブ(EV Hive)のカールソン・ロウCEOは、「inefficiency(非効率)」がキーワードだと説明する。同氏によると、インドネシアには非効率な部分が多く、解決が求められている。それらの課題解決に向け、2000年代はeコマース、2012年ごろは物流、2017年はフィンテックの分野で起業するスタートアップ企業が増えているという。これらのスタートアップ企業と協業することが、日系企業にとっては新たなマーケット開拓の近道になるはずだ。

(注)非上場にもかかわらず、企業価値が10億ドルを上回る有望ベンチャーを指す。めったに姿をみせないという意味合いを込め、伝説の生き物である「ユニコーン(一角獣)」と米国で呼ばれようになった。

(亀田周、山城武伸)

(インドネシア)

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