メキシコ政府側は「中小企業」章の妥結を評価-NAFTA再交渉の第3ラウンド終了-

(メキシコ、米国、カナダ)

メキシコ発

2017年10月06日

北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の第3ラウンド(9月23~27日)が終了したのを受け、メキシコ政府側はNAFTAに新たに加わる「中小企業」章の妥結を評価している。なお、難しい交渉になることが予想される米国の貿易赤字削減や自動車分野の原産地規則については、まだ議論されていないもようだ。

自動車の原産地規則に関する米国提案はなし

メキシコ、米国、カナダ政府が発表した共同声明によると、カナダ・オタワで開かれた第3ラウンドでは今回の再交渉で新たに加わる「中小企業」章の交渉が妥結した。また、「電子商取引」「競争政策」「通信」などNAFTA現代化に伴う章については、次回の交渉ラウンドで妥結する見込みだ。さらに、「政府調達」についても各国が提案を提出した。「エネルギー」「ジェンダーの平等」「先住民の権利」といった分野についても議論を開始した。一方で、メキシコのケネス・スミス・ラモス首席交渉官(駐米メキシコ大使館経済省代表)によると、第3ラウンドにおいても自動車分野における原産地規則に関する米国からの具体的な案は提示されなかったという(「エル・フィナンシエロ」紙9月28日)。

第3ラウンド終了後の共同記者会見において、メキシコのイルデフォンソ・グアハルド経済相は「私たちメキシコの交渉団はこれまでのNAFTA再交渉を通して非常に献身的に業務に従事してきた。『中小企業』章の迅速な妥結はそのたまものだ。」とコメントし、交渉の妥結を評価した(「エル・フィナンシエロ」紙9月28日)。また、米国とカナダから求められている労働賃金の引き上げについては、「労働者の権利保護について議論したもので、給与水準の引き上げについて話したわけではない」とし、交渉の議題にはなっていないとの見方を示した(「エル・エコノミスタ」紙9月28日)。

一方、米国のロバート・ライトハイザー通商代表部(USTR)代表は、「中小企業」章で交渉が妥結したことに満足感を示しながらも、「どの国も傷つかずに満足し、落ち着いて交渉を終えることができるのは今回が最後だろう。米国の貿易赤字を解消する方法について、引き続き議論する必要がある。困難かつ継続協議中である重要な仕事がまだ山積している。」とし、次回以降に米国の貿易赤字削減に関する具体的な提案を提示することを示唆した(「エル・フィナンシエロ」紙9月28日)。次回の交渉は10月11~15日の日程で、ワシントンで開かれる予定になっている。

(岩田理)

(メキシコ、米国、カナダ)

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