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対外投資を奨励、制限、禁止の3分野に明確化

(中国)

北京発

2017年09月14日

国務院弁公庁は、国家発展改革委員会、商務部など4部門が制定した「対外投資の方向性のさらなる誘導・規範化に関する指導意見」を、各省政府、国務院関連部門などが確実に執行するように求めた。効果的に各種リスクを防止しつつ、対外投資を合理的に秩序をもって健全に発展させるため、対外投資の奨励分野、制限分野、禁止分野の3つを明確に示した。

審査を強化し、虚偽投資行為の防止狙う

国務院弁公庁は、国家発展改革委員会、商務部、中国人民銀行、外交部の4部門が制定した「対外投資の方向性のさらなる誘導・規範化に関する指導意見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を、8月18日付で各省政府、国務院関連部門、各直属機関に対して通知し、確実に執行するよう求めた。

同指導意見は、中国企業の対外投資は良いチャンスに恵まれているとしつつ、一方で多くのリスクと挑戦に直面しているとし、投資の方向性をさらに誘導・規範化することで、効果的に各種リスクを防止しつつ、引き続き合理的に秩序をもって健全に発展させるとしている。

具体的には、対外投資の奨励分野、制限分野、禁止分野の3つを明確に示した。奨励分野については、税、外貨、保険、税関、情報などに関わる分野で政府のサービスレベルをさらに高め、ビジネスにより有利な条件を企業に提供するとした。制限分野については、企業が慎重に参画するように導き、実際の状況に応じて必要な指導と注意を、禁止分野については、有効で厳格なコントロールを行うとした。

また、対外投資の真実性や合法性の審査を強化し、虚偽の投資行為を防止するほか、対外投資の「ブラックリスト」制度の整備、違法投資行為に対する懲戒などに触れ、政府の管理メカニズムを完備することを示した。

国家発展改革委員会の責任者は同指導意見の発表の際、制定の背景として、a.一部の企業が盲目的に投資を行い、その後、経営困難に陥り、大きな損失が発生している点、b.一部の企業が重点的に不動産などの非実体経済分野に投資を行い、資金の国外流出を招き、中国の金融安定に影響を与えた点、c.一部の企業が投資先国の環境保護、エネルギー消費、安全などの標準(基準)や要求を無視して投資を行い、紛争を引き起こして損失が発生し、中国のイメージを損なった点、などを挙げた(新華社8月18日)。

中国の金融分野を含む全業種の対外直接投資額は、2015年までの実績が発表されている。2015年の対外直接投資額は前年比18.3%増の1,457億ドルと、14年連続で過去最高を更新し、初めて世界2位の水準となった。投資規模の拡大が進む中で、前述の一部の企業における問題の発生や、資金の国外流出を懸念する声などを受けて、政府が管理の強化を図ったとみられる。

不動産、ホテル、映画館などは制限分野に

明確化された3つの分野のうち、奨励分野については以下を挙げた。(1)「一帯一路」建設と周辺の基礎インフラ施設の相互連結に有利な基礎インフラ分野、(2)優位性のある生産能力、良質な設備、技術標準の輸出をもたらす分野、(3)海外のハイテク技術と先進製造業企業の投資協力分野(海外に研究開発センターを設立することを奨励)、(4)海外の石油、天然ガス、鉱産物などのエネルギー資源探査と開発分野(慎重に経済効率を評価することが前提)、(5)農業・林業・牧畜業・漁業などのウィンウィンの投資協力分野、(6)商業貿易、文化、物流などサービス分野、条件に合致する金融機関の海外での支店、サービスネットワークの設立。

制限分野としては、国家の平和発展外交方針、ウィンウィンの開放戦略、マクロコントロール政策と合致しない以下の分野を挙げた。(1)中国と国交を樹立していない、戦乱が発生している、中国が締結しているバイ(2国間)・マルチ(多国間)の条約・取り決めで制限が必要と規定しているセンシティブな国家・地域への投資、(2)不動産、ホテル、映画館、娯楽業、スポーツクラブなどの分野、(3)海外に設立されている、具体的なプロジェクトのない株式投資ファンド・投資プラットフォーム、(4)投資先国の技術標準(規格)、要求に合致しない立ち遅れた生産設備を使用して行う投資、(5)投資先国の環境保護、エネルギー消費、安全標準(基準)に合致しない投資。

禁止分野としては、国家利益と国家安全などに危害を与える、あるいは与える可能性のある以下の分野を挙げた。(1)国家の批准(許可)を経ていない軍事工業コア技術・製品輸出に関わる投資、(2)中国が輸出を禁止している技術、製法、製品分野、(3)賭博、風俗などの分野、(4)中国が締結・参加している国際条約で禁止されている分野、(5)その他の国家利益と国家安全などに危害を与える、あるいは与える可能性のある分野。

審査強化が直近の対外投資減少要因の1つに

商務部によると、2016年の対外直接投資額(金融分野を除く)は前年比44.1%増の1,701億ドルだったが、2017年1~7月の対外直接投資額(金融分野を除く)は前年同期比44.3%減の572億ドルと大幅に減少した。商務部は7月13日の定例記者会見で、対外直接投資の減少(2017年1~6月時点では45.8%減)について、比較対象となる2016年1~6月の金額の大きさ、国内景気が好調で投資家が国内により多くの資金を保留したこと、テロなどによる国際環境の不確実性の高まりを挙げつつ、商務部などが2016年末以降、対外投資の真実性や合法性の審査を強化し、非理性的な対外投資を効果的に抑制し、対外投資の構造を最適化してきた点を強調した。その結果、今回の指導意見で制限分野として示された不動産、ホテル、映画館、娯楽業、スポーツクラブなどへの投資が大幅に減少したとしていた。

中国の経済が新常態(ニューノーマル)の発展段階にあり、質と効率の向上を図っている中で、中国政府は対外投資も量から質への転換を図っていく方向にあり、今後の対外投資がどのように推移するか注目される。

(宗金建志)

(中国)

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