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生産から流通まで、六次産業化で欧州消費者に安心提供-有機のゆず・すだち果汁を輸出する阪東食品-

(EU、フランス、ドイツ、スペイン、オランダ、日本)

欧州ロシアCIS課

2017年09月28日

阪東食品(徳島県)は、有機にこだわり、かんきつ類(ユズ、スダチ、ユコウ)の生産から、加工、流通まで一貫して手掛ける、六次産業化を実践している。有機JASの相互認証のある国を中心に海外展開を進め、海外事業の8割以上は欧州向けだ。特に安心、安全の意識の高い欧州では、生産者の顔が見える同社のスタイルはビジネスの強みになっているという。阪東高英社長に聞いた(8月29日)。

海外事業の8割以上は欧州向け

阪東食品は有機にこだわり、ゆず果汁やポン酢など、かんきつ類を利用した有機加工食品を主力製品として輸出を伸ばしている。従業員は4人。欧州以外では中国、シンガポール、米国と展開し、最近ではオーストラリアとも取引がある。2016年の売上高に占める海外比率は約21%だったが、2017年に入り海外の売り上げは国内を上回る勢いで伸びており、今や国内外を含めた最大の取引先はフランスのディストリビューターだ。海外ビジネス全体の8割以上が欧州向けで、欧州ではフランスとドイツのディストリビューターを通じて、オランダ、スペインなどロシアを含む12カ国に販売している。欧州向けの主力製品はユズなどの果汁で、フランスにはポン酢も輸出している。

同社はBtoBを中心としたビジネスを展開しており、欧州では高級ホテル、レストラン、パティスリーなどが取引先の主な顧客だ。2月には、パリで同社製品を取り扱う店舗や今後取り扱いを検討する業者をディストリビューターと訪問した。安心、安全を求める意識の高い欧州、特にフランスでは、生産者の顔が見えることは非常に重要だ。特に生産から流通までを一貫して行っていることは製品への強い信頼につながり、欧州でビジネスをする上では強みになる。少人数でこうした態勢を維持することには、原料が不足するリスクなど課題もあるが、現在のスタイルを今後もできる限り続けていきたいと阪東社長は語る。最近も、フランスの取引先の担当者が同社のゆず果汁を使ったドリンクを取り入れている現地カフェの担当者を伴って徳島県まで訪ねて来たので、畑や県内を案内しつつ商品開発の打ち合わせを行ったところだという。長い時間をかけて取引先と築いた信頼関係がビジネスにつながっているのは中国など他地域でも同じだ。

国・地域で異なるかんきつ果汁の用途

阪東食品のかんきつ果汁の用途は国・地域により異なる。フランスでは特に、最近ではケーキなどの菓子やデザートに用いる食材として人気があるようだ。一方、オーストラリアや香港ではアルコール飲料への利用に可能性を見いだしている。基本的に日本向けと同じ製品を海外に出荷しているが、価値観の違いから付加価値の高め方など日本と海外で異なる点も興味深い。例えば、日本においては同社が取り扱うかんきつ類の中でもユズが最高級品になるが、欧州ではかんきつの種類よりもオーガニックであることが付加価値になる。その結果、国内の傾向と異なり、オーガニックでないゆず果汁よりもオーガニックのすだち果汁の方が高値で売れるという。

海外ビジネスのきっかけは、2010年の香港および上海の展示会への出展だった。コストも考え、まずはできるだけ近い地域から始めたいという気持ちがあった。2011年の東日本大震災で海外展開はいったん振り出しに戻ったが、2012年ごろから徐々に再チャレンジした。アジアでの展示会出展時に欧州市場でのニーズを感じ、2013年にドイツ・ケルンで開かれた食品見本市「アヌーガ(ANUGA)」への出展に踏み切った。出展直後にいきなり成約することはなかったが、フォローアップを行っていく中で1年以内に徐々に成果が出始め、現在の取引先との出会いにつながった。10月には再び「アヌーガ」に出展予定だ。

有機農法への取り組みが欧州ビジネスの軸に

同社の有機栽培の果汁製品は、有機JAS認証を取得している。先代社長が、体に優しいものを作りたい、また人と同じことをしていては面白くないとの思いで取り組み、2003年に取得した。有機農法に切り替えると、それまで農薬を使っていた樹木には虫に対する抵抗力が一時的に弱ってしまう。3年ほどの転換期を耐え、次第にクモなどの益虫が木を守ってくれるようになり、生産ができるようになった。有機JASの取得には、何度も認証機関に足を運び、根気よく書類の修正を行った。

有機JASは毎年更新が必要だ。瓶の容量、原料となるかんきつの種類、加工の仕方により別個に手続きが必要で膨大な作業になるが、苦労のかいあって、有機であることを強みとした海外ビジネスにつながっている。

同社は現在、EUや米国など有機JASの相互認証を行っている国では、同等性を利用しオーガニック製品として輸出している。自社の有機ポン酢はEUの有機ロゴ(ユーロリーフ)の使用基準は満たしていないが、近く原料の一部を変えて対応できるようになる予定で、これにより現地のオーガニック専門店にも販売できるようになる。同等性は都道府県の認証協会が相手国との間で締結して初めて利用できるものだが、当時EUとの同等性利用者がほとんどいなかった徳島県の認証協会は過去に取得していたEUとの相互認証をストップしていたため、同社が再度EUとの同等性を取得するよう要請して、ようやく活用が実現した経緯がある。

写真 左から阪東食品の「みちこの有機ぽんず」「有機栽培ゆず酢」、ユズ園地(同社提供)

プロに認められる食材を目指す

今後の海外ビジネスの展望について、価格競争にさらされやすい小売市場は難しいと考え、欧州では今後もあくまでBtoBの舞台で勝負し、プロの料理人などをターゲットに、業務用の食品ブランドとして定着させることが目標だという。また、7月6日に大枠合意した日EU経済連携協定(EPA)が発効することにより、関税削減によるビジネス促進はもちろんのこと、欧州市場で日本産のユズやスダチの認知度が高まり、市場の底辺が広がることに強く期待しているという。現在欧州において、ユズやスダチはもっぱら高級店で取り扱われる食材というイメージを持たれているが、同EPA発効により、消費者にとってより身近な食材になることを期待しているという。

(根津奈緒美)

(EU、フランス、ドイツ、スペイン、オランダ、日本)

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