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ニーズに応える姿勢で海外オーガニック調味料市場に参入-HACCP方式にこだわる光食品-

(EU、スウェーデン、日本)

欧州ロシアCIS課

2017年09月27日

光食品(徳島市)は、HACCP(危害分析および重要管理点)方式に対応した工場で作る有機のソース、トマト加工品、ドレッシングなどの調味料を販売している。見本市への継続的な出展を足掛かりに、2016年の出荷額の1割を海外向けが占め、その4割は欧州向けだ。2017年からは、スウェーデンのディストリビューターと二人三脚で3年かけて開発した欧州向けソースの大口取引を開始した。丁寧なフォローアップと顧客ニーズに応える姿勢がビジネス拡大につながっている。欧州での事業展開について島田光雅社長に聞いた(8月28日)。

丁寧なフォローアップで欧州ビジネスも軌道に

光食品は、有機原料のソース、トマト加工品、ドレッシングなど調味料の製造・販売を手掛ける。2016年の出荷額のうち海外向け(自社の上板工場での生産品)は1割程度を占め、その主な販売先は欧州や米国など、有機JASの同等性を有する先進国となっている。海外ビジネスの4割程度を占める欧州では、2010年ごろからドイツのオーガニック食品見本市「ビオファ(BIOFACH)」への参加・出展などを通じて出会ったスウェーデンの商社をはじめとする取引先との信頼関係を着実に深め、近年いよいよ本格的にビジネスが定着してきた。

同社の海外ビジネスモデルは、現地商社を通じた消費者向け販売が主力で、主力製品は有機原料を使った調味料類だ。ウスターソース、テリヤキソース、ショウガソース、徳島県産かんきつ類を使用したシロップなど、欧州向けに開発した商品で、ほとんどが地場系スーパーで現地ブランド名で販売されている。スウェーデン向けが欧州ビジネスの9割近くを占め、ドイツ、オランダ、スペイン、英国などでも販売されている。スウェーデンのディストリビューターと取引を開始したのは2012年ごろで、さまざまな商品を扱ってもらったが、どれも長続きしなかった。そこで2014年に県の補助を利用してディストリビューターを招き、1日がかりの工場視察で徹底的に同社製品への理解を深めてもらうとともに、現地側のニーズをくみ取った。そこから3年がかりで現地のニーズに対応した新商品、ビーガン(完全菜食主義)対応の有機野菜ブイヨンの開発を進め、努力がようやく実を結び、2017年から大口での本格的な出荷が始まった。

写真 海外向けに開発した調味料(光食品提供)

有機であることは差別化の強み

同社が徹底するのは、顧客のニーズに応える姿勢だという。基本的に取引先の要望に「できない」とは言わず、ニーズに最大限応えられるよう根気よく取り組む。簡単なことではないが、ハードルの高い市場ほど他社に入って来られず、参入できたときの達成感が強い。これがモチベーションになると、島田社長は言う。例えば最近も、「グルテンフリーのしょうゆ調味料を作ってほしい」との要望を受け、有機ポン酢や和風の有機ドレッシングなどニーズに沿った商品を開発した。ニーズに応える姿勢は価格設定にも表れている。子育て世代に有機、無添加のものを食べてもらいたいとの思いから、40年間値上げをせずにやってきたという。

同社ではHACCP(注)方式に対応した衛生管理システムを導入しており、基本的に全ての製品を同方式で製造している。10年以上前に、将来的に日本でHACCPが義務化されることを見据え、導入した。自社工場を直接見せることが難しい海外取引先に、品質を理解してもらうために必要な手段と理解している。また2001年から有機果実・野菜の栽培に取り組み、有機JAS認証を取得。海外ビジネスは基本的に、有機JASの相互認証のある国をターゲットにオーガニック製品を輸出しており、スウェーデンをはじめ欧州各国へ輸出するソースやポン酢しょうゆなども全てオーガニックだ。有機であることは、特に欧州市場への参入に際して競合製品との差別化を図る意味で大きな強みになる。

日EU・EPAの発効に期待

7月6日に大枠合意した日EU経済連携協定(EPA)については、環太平洋パートナーシップ(TPP)と比べてもデメリットが少なくメリットが大きいと感じていると島田社長は言う。同社は欧州とのビジネスとして輸入も行っている。イタリアからトマト、オーストリアからリンゴ、イタリアおよびスペインからレモン果汁などを仕入れており、欧州からの輸入額は年間約1億円。日EU・EPA発効により、仕入れコストと、自社の製品を輸入する欧州業者のコストの両面で関税削減メリットがあり、欧州ビジネスの追い風になる。ただし、国内の生産者からも仕入れを行っているため、日本の生産者への打撃というデメリットにも配慮する必要があり、同EPAによりEUからの輸入品の価格が安くなったとしても現在の取引を維持する姿勢を示すなど、生産者との信頼関係を維持するよう心掛けているという。

急拡大する需要への対応が課題

光食品はこの3年間で3億円ほどの設備投資を行い、生産能力の拡大を図ってきたが、急速に拡大する海外需要に追い付かなくなりつつある。展示会出展以外に、自前の英語版ウェブサイトを通じて月平均3件程度の新たな引き合いもある。英語対応のできるスタッフを3人雇用し海外ビジネスの態勢を整えてきたが、海外ビジネスのさらなる拡大には追加的な投資も必要になることから、長期的な視野で海外ビジネスの方向性を定める時期に来ている。それでも2016年から米国の「Natural Products Expo West」への出展を開始し、欧州ではビオファに加え、10月にドイツ・ケルンで隔年開催される食品見本市「アヌーガ(ANUGA)」にも2017年から出展する。島田社長は今後の展望として、米国では全世界に300店以上を展開するグルメスーパー・ホールフーズ全店での取り扱いが目標と語るとともに、目線は台湾、ロシア、中東も捉えている。

(注)HACCPとは、原料の入荷、調合・充填(じゅうてん)など製造加工・加熱殺菌(微生物要因)、包装・箱詰め工程における異物混入など、食品製造の全工程であらゆる危険を予測・分析(Hazard Analysis:HA)し、それを防止(予防、消滅あるいは許容レベル以下に減少)するための重要管理ポイント(Critical Control Point:CCP)を特定し、そのポイントを継続的に監視・記録(モニタリング)し、不良を未然に防ぐ、あるいは異常が認められたら直ちに対策を講じ、解決することにより不良製品の出荷を未然に防ぐ総合管理方式。詳細はジェトロウェブサイト参照。

(根津奈緒美)

(EU、スウェーデン、日本)

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