4兆ドン以上の新規投資に30年間の法人税優遇-ホアラック・ハイテクパークに関する政令が施行-

(ベトナム)

ハノイ発

2017年08月23日

ハノイ市西部のホアラック・ハイテクパークへの投資促進のための税制優遇措置などを定めた政令(74/2017/ND-CP)が、8月5日に施行された。ベトナムの科学技術都市を目指して日本の支援でインフラ整備が進んでおり、大手企業などの注目を集めている。

4兆ドン未満の税優遇は15年間

同政令で定められた優遇措置のうち、特に企業への影響が大きいとみられるのが法人税の優遇措置だ。標準税率は20%だが、投資額4兆ドン(約192億円、1ドン=約0.0048円)以上の新規投資案件は、課税所得発生時から4年間は免税、13年目までは5%、その後30年目までは10%が適用される。また、投資額4兆ドン未満の新規案件についても同様に、課税所得発生時から4年間は免税、13年目までは5%、14~15年目は10%となる(表参照)。

表 ホアラック・ハイテクパークにおける法人税率

ホアラック・ハイテクパーク内で働く外国人投資家や専門家、労働者およびその家族(父母、配偶者、18歳未満の子供)に対しては、勤務期間中に有効な数次ビザが発給される。また、働くベトナム人には、APECビジネス・トラベル・カードの使用が許可され、制度に加盟する19カ国・地域にビザまたはビザ手続き免除で入国できる。

さらに、労働者向け住宅を同ハイテクパーク内で整備する場合は、税金や土地使用料に関する優遇措置が付与される。管理委員会の担当者は「この優遇措置によって住宅整備への投資が進み、労働・生活環境の改善につながる」と説明する。このほか、各省庁が所管する各種手続き(環境や消防などを除く)のワンストップ窓口を管理委員会が務めることが明確化され、進出企業の利便性が高まることも期待される。

社会インフラへの投資にも期待

ホアラック・ハイテクパークは、ベトナムのハイテク産業と研究開発の中核拠点として1998年に政府の認可を受け、国際協力機構(JICA)の支援を軸に開発が進められている。2017年6月には、JICAが第2期事業として基礎インフラ整備などのために約128億6,500万円を限度とする円借款の供与を決定し、2019年3月までの完工を目指している。

管理委員会によると、2017年7月末までの累積で81件、総額約65兆ドンの投資プロジェクトが認可され、うち10件は外国直接投資となっている。6月には、日本電産が省エネ・高性能モーターなどの需要拡大に対応するため、今後数年間で5億ドルの投資を行うとした覚書をハノイ市および科学技術省と取り交わした。日本企業の関心は次第に高まっており、ジェトロにも同ハイテクパークへの進出に関する相談が増えている。前述の管理委員会担当者は「情報技術、バイオテクノロジーなどのハイテク分野のほか、パーク内の環境整備のため、住宅・学校・病院など社会インフラへの投資も必要」と、日系企業の投資に期待を寄せている。

なお、ハイテクパークへの入居手続きについては、2017年5月10日記事を参照のこと。

(佐々木端士)

(ベトナム)

ビジネス短信 fbd63d76ebc01b3c