サイバーセキュリティー分野の企業連携目指しセミナー開催

(イスラエル、日本)

テルアビブ発

2017年08月22日

ジェトロは、テルアビブで6月に行われた国際会議サイバーウイーク(CW)に併せて「日本-イスラエルセミナー」を開催した。サイバーセキュリティー分野で日本企業とビジネス経験のあるイスラエル企業が、日本における同分野の現状やビジネスチャンスなどを紹介した。

サイバーウイークに併せ初めて実施

6月25~29日、テルアビブ大学で国際会議CWが開催された。主催者はブラバトニク学際的サイバー研究センター、テルアビブ大学、イスラエル首相府国家サイバー局、外務省など。

ジェトロはCWに併せ、サイバーセキュリティー分野の企業間連携を促すことを目的に、「日本-イスラエルセミナー~イスラエル企業を日本に」を初めて実施。同分野で日本企業とビジネス経験のあるイスラエル企業が、日本市場の特徴やニーズ、その経験などについてプレゼンテーションを行った。

チェックポイントのアジア太平洋・中東アフリカ地域セキュリティーエンジニア部門長エイタン・エレズ氏は、日本のセキュリティーベンダーとのビジネス経験やサイバーセキュリティー業界の現状、日本が受けたサイバー攻撃に関する説明を行い、サイバーセキュリティー対策の必要性を強調、日本にはビジネスチャンスがあると語った。また、シージーエス・タワー・ネットワークスのイード・リフシッツ販売マーケティング副社長は対日ビジネスの留意点として、日本企業は高品質の製品・ソリューション、革新的で高い機能、簡略化された操作を求め、顧客満足を確保することの重要性、競争力のある価格設定が求められることなどを解説した。

日本の研究者も開発したシステムを紹介

セミナーの冒頭では、冨田浩司駐イスラエル日本大使、ジェトロ・テルアビブ事務所の余田知弘所長があいさつしたほか、CWの総責任者でありイスラエル国防軍でサイバーセキュリティーに関する顕著な実績を持つテルアビブ大学のイツハク・ベン・イスラエル教授が、日本とイスラエルが協力することの必要性を指摘、今後の両国における同分野の発展に注目していると語った。

また、国立研究開発法人・情報通信研究機構(NICT)の井上大介博士は、同機構が開発したサイバー攻撃観測・分析・対策システム「nicter(ニクター)」(Network Incident analysis Center for Tactical Emergency Response)と、サイバー攻撃統合分析プラットフォーム「NIRVANA改(ニルヴァーナ・カイ)」(nicter Real-network Visual Analyzer KAI)について、プレゼンテーションを行った。井上氏が日本へのサイバー攻撃をリアルタイムでスクリーン上に投影し、サイバー攻撃の実情をビジュアル化して説明すると、聴衆から驚きの声が上がっていた。

なお、CWに先立ち5月には、世耕弘成経済産業相とエリ・コーヘン経済産業相による初の閣僚級日イスラエル経済政策対話がエルサレムで開催された。両氏は「日イスラエル・イノベーション・パートナーシップ」の共同声明に署名し、産業分野のサイバーセキュリティー強化に向けた協力、ハイテク投資拡大に向けた研究開発(R&D)協力の強化、企業間(BtoB)コミュニケーションの強化に合意している。

(余田知弘)

(イスラエル、日本)

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