モーターサイクルの輸入にも追加関税措置

(トルコ)

イスタンブール発

2017年08月17日

トルコ政府は、国内産業の保護や貿易赤字の縮小を目的に行ってきた追加関税措置の対象を拡大し、モーターサイクルおよび同部品に対して7月28日付で実施した。追加関税措置は2017年に入り4回目となる。

追加関税率は20%

7月28日付の官報によると、EUおよび自由貿易協定(FTA)締結国以外の国からトルコへ輸入されるモーターサイクル(自動二輪車)と同部品5品目を対象に追加関税が課される。追加関税率はモーターサイクルが20%、同部品が10~20%だ(添付資料参照)。トルコへのモーターサイクル輸出が最も多い中国、インド、日本、インドネシア、タイ、ベトナムなどのアジア諸国が追加関税の主な対象となる。

追加関税措置は、2016年にゴム・プラスチック製品や繊維製品、軽工業品を中心に計6回88品目、2017年もこれまでに農業機械、電気機器などで3回19品目の追加関税措置が実施されている(2017年2月23日記事参照)。

トルコでは現在、モーターサイクルの全てを対象とする18%の付加価値税(VAT)に加えて、249cc以下には8%、250cc以上には37%の特別消費税(SCT)が課される。今回の追加関税措置の影響を受け、販売コストがさらに高くなる見込みだ。

モーターサイクル工業会(MOTED)のクルチエル会長は、トルコ日刊紙「ソズジュ」(7月30日)に「20%の追加関税の影響で消費者が低価格のバイクを購入する傾向が強まり、販売市場は約2割縮小すると予想される。今回の措置は国産バイクの生産にも、失業率にも良い影響を与えない」とコメントした。

輸入モーターサイクルが国産を上回る

モーターサイクルの販売台数は2013年以降減少傾向にあり、2016年も前年比13.0%減だった(表1参照)。特に国産車の販売不振が著しく、2013年以降2016年まで年平均14.3%減少している。この結果、2013年に36.4%だった輸入車の比率は、2016年に48.3%、2017年1~5月は50.4%に達し、国産車の比率を上回った。

表1 モーターサイクルの国産・輸入車別国内販売台数とシェア

モーターサイクルの輸入額は中国(2016年の構成比:33.1%)を筆頭に、インド(17.0%)、日本(11.9%)などアジア諸国のシェアが高く、2013年以降はインド、インドネシア、ベトナムからの輸入額が急増している(表2参照)。特にインドからは10倍の伸びをみせているほか、インドネシアとベトナムからは2014年に純増し、その後も増加傾向にある。

 表2 モーターサイクルの主要国・地域別輸入額推移

(エライ・バシュ)

(トルコ)

ビジネス短信 48ebe50e2d67fdbd