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消費者のライフスタイルに応じたアプローチを-「英国消費市場の将来」セミナー(1)-

(英国)

ロンドン発

2017年08月29日

ジェトロは調査会社GfKとの共催で、「英国消費市場の将来」と題するセミナーを7月13日にロンドンで開いた。GfKは消費者データを活用しながら、EU離脱(ブレグジット)の国民投票の影響などを紹介するとともに、消費者のライフスタイルに大きな変化をもたらすIoT(モノのインターネット)や次世代自動車、スマートホームなどの動向について説明した。セミナーの概要を2回に分けて報告する。前編は英国消費者の動向・ニーズや事業機会について。

低下傾向が続く消費者信頼感

GfKのジョー・スタットン市場動向部長は冒頭に、英国消費者信頼感の動向について説明し、「市場が不確実な場合に信頼度が低下するように、英国の消費者信頼感は継続的に低下している」と述べた。同社は、プラス40からマイナス40までの指数を用いて消費者の抱く景況感を表す消費者信頼感調査を毎月実施しているが、2017年6月の調査結果によると、英国の消費者信頼感は前月を5ポイント下回るマイナス10ポイントと大幅に低下した。これは予想を覆し与党・保守党が過半数割れした選挙結果の影響ともみられるが、スタットン部長は「家計と一般経済状況の見通しの不透明感が増しているという消費者の評価の表れ」と説明した。なお、セミナー後に発表された7月の消費者信頼感は、2016年の国民投票後の調査結果と同じ水準のマイナス12ポイントと、さらに落ち込んでいる。

同氏は、低迷する英国の消費者信頼感の背景には、「給与水準が伸び悩む一方で、インフレ率が上昇していることから、家計の購買力が低下している」ことがあるとした。GfKが行った別の調査によると、英国の消費者の大多数が、経済苦境にもかかわらず、今が家具や家電などの大きな製品の買い時という認識を示している。しかし、このような消費者も「特売品のような製品を探している」のが実態だとした。

また、最近の英国消費者にとっての最大の懸念はテロリズムだという。マンチェスターやロンドンで相次いだテロ事件が、消費者信頼感にも影響を与えそうだ。さらに、国民保険サービス(NHS)の負担額や自身の経済的な問題への懸念・関心も高く、EU離脱や移民問題という2016年6月の調査時点で挙げられていた事項の相対的な位置付けは低下していることがうかがえる。

「製品の物語」を伝えるアピールが効果的

続いてスタットン部長は、英国消費者の特徴を踏まえた商品やブランドの訴求方法について説明した。GfKは毎年、世界中の消費者のライフスタイルについての調査「GfKコンシューマーライフ」を実施している。最新の調査によると、英国の消費者は価格だけでなく、ブランドの信頼感も重視していることが明らかで、この傾向は特に15~34歳の層で強い。このような消費者に対する効果的なアプローチの1つは、「製品の物語を伝えること」だという。例えば、英国の家庭で絶大な支持を受ける「ジョン・ウェスト」のツナ缶は、同社ウェブサイトに商品のバーコード番号を入力することで、マグロが捕獲された場所と漁師の情報を調べることができる。

また、エアビーアンドビー(Airbnb)に代表されるピアツーピア(P2P)サービスへの関心の高まりも注目される。エアビーアンドビーは、空いている部屋を貸して収入を得たい個人と、宿泊先を探す個人を仲介するサービスだ。英国消費者は、消費者間の直接取引を可能とするこのようなP2Pサービスが節約につながるとともに、個人の相互扶助の関係の構築につながるものとして好意的に捉えている。

「英国企業」や「英国製」のイメージ求める

スタットン部長によると、英国の消費者がグローバルなイメージを持つ企業に対して抱く好感度は必ずしも高くない。「自国の文化が海外から影響されていることについてどう思うか」という問いに対し、「良いこと」と回答した英国の消費者は17%と、世界平均の24%を下回る。国民投票でEU残留を支持する割合が高かった若い世代(15~34歳)でみても、自国文化への海外からの影響を肯定的に捉えたのは30%にとどまった。また、この傾向を反映するかのように、過半数の消費者が「英国製」をアピールする企業からの商品購入を望んでいることも明らかになった。

これに対応し、グローバル企業も「英国企業」としてのイメージづくりを強化している。グローバル企業の代表格ともいえるHSBCは「世界のローカル銀行」のスローガンを掲げているが、これはグローバル化を懸念・警戒する消費者を意識したものだという。また、地場のTSB銀行は金融危機後の再建に際して「英国のローカルバンキング」のスローガンを掲げ、英国内の消費者に焦点を当てていることを強調している。

(キャサリン・ロブルー)

(英国)

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