国家非常事態宣言が10カ月ぶりに解除

(エチオピア)

アディスアベバ発

2017年08月07日

国民議会が8月4日に臨時招集され、国家非常事態宣言が10カ月ぶりに解除された。オロミア州やアムハラ州を中心に反政府運動が過激化したことで、2016年10月以降、同宣言下にあった。

通常の態勢で治安維持可能に

非常事態宣言は2016年10月の発令時には6カ月の期限付き措置とされ、2017年3月末に4カ月の延長が決まっていた(2017年4月5日記事参照)。しかし、7月下旬には非常事態宣言司令部が、国内情勢は落ち着いており、十分に治安維持可能なレベルにある旨を政府に報告していた。措置の延長か解除かを決める国民議会は休会中で、8月に入りいつ招集されるか注目されていた。

シラジ防衛相によると、10カ月にわたった非常事態宣言の間に治安要員は増強され、合計709人を検挙し、現在も7,737人を取り調べているという。一部地域で小規模な事案の発生する可能性は残っているとしつつ、通常の治安維持態勢で対応可能とした。

宣言発令の契機となったのは、オロミア州での反対政府運動が過激化したことだった。首都アディスアベバ市を取り囲むかたちの同州にとって、政府などが進めようとする同市の拡張計画は侵入と受け止められた。また、同市との経済格差も住民の不満につながっていた。しかし7月に入り、アディスアベバ市は地理的拡張を伴わない開発計画を採択したほか、オロミア州への飲料水供給や市場の整備、オロモ語の公用語化の検討をしているなどと報じられている。

なお、日本の外務省は3月23日付で、アムハラ州とオロミア州のそれぞれ一部地域の危険情報を「レベル1」(十分注意してください)に引き下げているが、日本時間8月7日午前4時時点で今回の解除に伴う変更はなく、オロミア州南部やソマリ州の州境付近、アムハラ州のゴンダール、バハルダールなどは引き続き「レベル2」(不要不急の渡航はやめてください)となっている。

(関隆夫)

(エチオピア)

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