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NAFTA19章の維持に断固たる姿勢で臨むと強調-フリーランド外相が再交渉の主要目標を公表-

(カナダ、米国、メキシコ)

トロント発

2017年08月21日

米国、メキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉が8月16日に始まったが、これに先立ち、クリスティア・フリーランド外相は「NAFTAの現代化」と題して、再交渉の6つの柱となる項目を公表した。自由貿易の推進と国内政策の連携によるカナダ国民への恩恵を強調するとともに、主な交渉項目はEUとの包括的経済貿易協定(CETA)を意識したものとなっている。

自由貿易と国内政策の連携が重要

フリーランド外相は8月14日、オタワ大学で行われた公共政策フォーラムで、NAFTA再交渉に向けたカナダ政府の主要目標を公表した。NAFTA再交渉に向けて6月3日から7月18日まで実施したパブリックコメントについて、同外相は「カナダ政府は、カナダ人から2万1,000件以上のNAFTAに関する意見や懸念する点の提出を受け、その中には16のシンクタンク、158の団体、55の民間企業から提出されたものも含まれる」と述べた。また、「たとえ政治的な見解の方向性が異なっているとしても、貿易は人々を結び付けるように作用する」と、暗にトランプ政権を牽制した。

同相はさらに、「貿易から得られる恩恵は全てのカナダ国民に共有されるべきで、そのためには富裕層に対する増税と、その他への減税を行い、年金受給者や家族の生活を支援する。これらの政策を実現するには、自由貿易と公平な国内政策が連携することが重要であり、どちらかが欠けると機能しない」と述べ、自由党政権の政策である自由貿易の推進がカナダ人の利益に合致していると強調した。

再交渉の目標は現代化など6点

フリーランド外相は発言の中で、以下の6つの柱を再交渉の目標として挙げた。

(1)NAFTAの現代化

(2)NAFTAの革新的な進化

(3)事務手続きの簡素化と規制の調和によるビジネスの円滑化

(4)政府調達分野のより高い自由化

(5)専門職の国境を越える移動の簡便化

(6)アンチダンピングや相殺関税に関する内容を規定したNAFTA19章、カナダの文化産業保護の例外措置、酪農などの供給管理制度の維持

さらに、上記(2)を以下の5項目に細分化している。

a.労働基準の強化条項の追加

b.環境保護対策の強化と条項の本協定への統合

c.ジェンダーの平等の権利を明記した新条項の追加

d.先住民との関係改善を約束するための新条項の追加

e.政府が公益に資する確固たる権利を確保するための、投資家と国との紛争解決(ISDS)条項(11章)の刷新

EUとの協定を意識した内容

目標の多くの項目は、2016年10月末に調印したCETAの内容を意識したものとなっており、声明の中でたびたび引き合いに出されている。上記(1)NAFTAの現代化について、NAFTAは成立から23年が経過し、世界、北米、そしてカナダ経済は技術革命により変化してきている状況の中、活力があり国際的な競争力がある技術分野の維持と、全ての産業がデジタル革命から恩恵を享受できるように、NAFTAの現代化を目指すとしている。また、NAFTA19章の維持については断固たる態度で臨むとしており、もし交渉が行き詰まった場合は、交渉から撤退することも辞さないとの姿勢を表明した。

なお、フリーランド外相のこの発言を主要紙は論説で取り上げた。「グローブ・アンド・メール」紙(8月15日)は、外相には守りの姿勢が目立ち、市場アクセスでの主要な要求事項は米国の政府調達分野に対するより自由な参入だけだが、現行のNAFTAで州レベル以下の政府調達への参入は規定されていないため、同分野の要求は重要としている。また、「ナショナル・ポスト」紙(8月15日)は、ジェンダーや先住民問題を貿易協定に含めるのは異例であり、これは自由党政権の進歩主義的な姿勢をカナダ国民に示すことが目的と思われ、トランプ政権がこのような条項を含めることに同意するとは考えにくい、とした。

(伊藤敏一)

(カナダ、米国、メキシコ)

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