湖北省でも企業登記制度改革が進展

(中国)

武漢発

2017年07月14日

中国では、企業の設立登記などに必要な各種許可証を1つにまとめる企業登記制度改革が進展している。湖北省でも関連政策が実施され、営業許可証の取得に要する時間が短縮し、企業の負担軽減につながっている。

原則3営業日以内に営業許可証を交付

中国では2015年以降、企業登記制度改革が実施されている。従来、企業が設立登記や登記情報変更を行うに当たって、工商行政管理部門から営業許可証、税務部門から税務登記証、品質技術監督部門から組織機構コード証をそれぞれ入手する必要があった。国務院弁公庁は2015年10月から、これら3つの証書の番号(コード)を「統一社会信用コード」へと統合し、工商行政管理部門の営業許可証に一本化した(2015年7月13日記事参照)。さらに国務院弁公庁は2016年7月、「『五証合一・一照一碼』登記制度改革の推進加速に関する通知」を公布。同年10月からは、前述の3つの証書と「社会保険登記証」「統計登記証」の5つのコードが統一社会信用コードに一本化された。

中央政府の政策を受け、湖北省政府は2016年9月22日、「湖北省人民政府弁公庁による『五証合一・一照一碼』登記制度改革に関する実施意見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。同意見では、申請に必要な書類、証明書、申請窓口のいずれも1つとする「ワンストップサービス」を徹底するとともに、原則、受理後3営業日以内に営業許可証を交付するとしている。

実際に、湖北省武漢市内でドラッグストアを20店舗展開する武漢同仁は2017年5月、営業許可証を申請後3日で受領したという。ドラッグストア経営に必要とされる証明書は従来5種類、そのために必要な提出書類は40部、申請から営業許可書受領までに要する期間は最短180日だったが、今回取得が必要だった証明書は営業許可証のみで、提出を求められる書類も17部と大幅に簡素化された。

自由貿易試験区の目玉の1つとしてアピール

行政手続きの簡素化は、企業の負担軽減につながると歓迎されている。中国では登記に必要な各種許可証の取得のみならず、経営範囲の変更や役員・管理職の交代などにも、膨大な書類の作成と役所での煩雑な手続きが必要だった。企業は行政手続きのための専属スタッフを雇うことも多く、多大な負担を強いられてきた。

湖北省政府はこうした煩雑な行政手続きを「資源浪費」として、大幅な簡素化を図っている。背景には、2017年4月に設立した中国(湖北)自由貿易試験区への企業誘致もある。湖北省政府は、日系企業を含む外資系企業の誘致を目指し、企業登記制度改革を行政権限の委譲・削減、行政の電子化と並ぶ重要な政策の1つとしてアピールしていく方針だ。

他方、企業の撤退時の抹消登記においては、設立登記に比べて行政手続きの簡素化が進んでいない。税務部門から税金完納証明書を取得する必要があり、抹消手続きに1年以上を要するケースもある。今後は抹消登記の手続きに関しても、合理化・簡素化されることが期待される。

(古谷寿之)

(中国)

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