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政府・産業界に牛肉など輸出拡大への期待高まる-日EU・EPAの大枠合意への反応-

(アイルランド、日本)

ロンドン発

2017年07月10日

日EU経済連携協定(EPA)の大枠合意を受けて、政府・産業界は歓迎する姿勢を表明し、とりわけ牛肉の輸出に追い風とする見方を示した。英国との経済的結び付きが強いアイルランドは、英国のEU離脱による影響が大きくなることから、英国市場への依存度低下や世界市場開拓を図る意向があり、日EU・EPAをその一歩にしたいところだ。

農産品輸出事業者のビジネス機会に

企業・イノベーション省によると、アイルランドから日本への財の輸出額は2016年に29億ユーロ、輸入額は12億ユーロで、アイルランドにとって日本はアジアでは中国に次ぐ貿易相手国となっている。サービス貿易も日本への輸出額は32億ユーロ(2015年)と、アイルランドからの輸出先としては9番目に大きい(輸入額は10億ユーロ)。また、投資関係についてみると、日本からアイルランドへの直接投資は、中国からのそれを上回りアジアの国で最大だ。

アイルランドにとって最大の貿易相手国である英国がEUから離脱することによる影響を緩和するため、政府や産業界は市場の拡大を模索している。日EU・EPAをてこにする日本との経済関係の強化は、この市場拡大に資することから、政府・産業界ともに歓迎の意向を表明した。さらに、保護主義に傾きつつある世界市場に自由貿易主義のくさびを打ち込む上でも、その意義は大きいとしている。

政府関係では、フランシス・フィッツジェラルド副首相兼企業・イノベーション相が7月6日、「日EU・EPAは、協調を通じた国際課題への対処、保護主義への対抗の面での強力なシグナルとなる」とその意義を語った上で、2017年後半にミッションを率いて訪日する予定があることを明らかにし、「日本との経済関係・貿易関係を深化させたい」と意欲を示した。

また、マイケル・クリード農業・食糧・海事相も7月6日にコメントを発表、「EUの農業セクターにとって極めて大きな進展で、農産品の輸出事業者にとっての機会となる」と期待を込めた。とりわけ、牛海綿状脳症(BSE)の問題で長年厳しい状況に追いやられていた畜産(牛)事業者に追い風との見方を示し、「EU産牛肉の日本市場へのアクセスについて譲歩を勝ち取ったことは喜ばしい」としたほか、豚肉や、チーズなどの酪農品の輸出にも好影響と評価した。加えて、英国のEU離脱までに残された時間は多くないことから、「市場の多様化、英国市場への依存度低下に向けて、潜在的な市場として日本が加わった意義は大きい」と述べた。

産業界はEPA活用に向けた環境整備を政府に要望

公共放送のRTEが報じたところによると、産業界も日EU・EPAを歓迎している。アイルランド農業連盟(Irish Farmers’ Association)は「貿易障壁の緩和はアイルランドの牛肉輸出に恩恵をもたらす」とコメントした。

政府・産業界ともに農業、中でも牛肉分野への言及が目立つが、アイルランド政府商務庁(Enterprise Ireland)は「医療機器技術、航空、フィンテック、農業技術の各分野における日本市場への輸出支援を図りたい」と、先端技術分野での日本市場展開の強化を図る意向を表明した。また、医療装置や製薬分野といったアイルランドとして強みを持つ分野にとっても朗報とするなど、幅広い産業に恩恵が及ぶことに期待感を示した。

このように、好意的な反応が多い中で、アイルランド商工会議所(Chambers Ireland)は7月6日、「EPAの便益を産業界が十分に享受できるよう政府は適切な支援を行うべきだ」と政府に対して環境整備を要望した。さらに、「来年の予算に市場開拓を図る中小企業への貿易金融支援を盛り込むべきだ」と中小企業対策の必要性も訴えている。

報道機関の反応をみても、政府・産業界の好意的な反応を紹介するものが多い。「アイリッシュ・タイムズ」(電子版7月6日)は、地理的表示(GI)などの規制面に着目し、「アイリッシュ・ウイスキー」などの地理的表示の保護強化が盛り込まれたことはEU農業が勝ち得た大きな成果とした。

(佐藤央樹)

(アイルランド、日本)

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