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電気・電子産業の高度化へ人材育成と外資誘致策

(フィリピン)

マニラ発

2017年06月05日

新たな産業振興の方向性を模索するフィリピン政府は、電気・電子産業における官学連携の高度人材育成を数年前から始めている。人的資源の優位性を訴求しつつ、従来の労働集約型を中心とした輸出志向産業の高度化を目指すため、新たな外国企業誘致の取り組みを開始した。

人的資源と手厚い優遇措置をてこにした取り組み

近年、平均6%台の経済成長を続けるフィリピンは、2016年に6.9%成長とASEANの中ではカンボジア、ラオスと並び最高水準の経済成長を達成した。人的資源の豊富さ、1980年代から一貫した政府の手厚い投資優遇措置を魅力として、輸出志向型の電気・電子産業を中心とした製造業やIT-BPO産業の外国投資を引きつけてきた。

投資優遇措置では、売上高の70%以上を輸出することを条件に、業種に関係なく輸出売上高に対する法人税が4年間免税となり、5年目以降も軽減措置が付与される。技術的な先進性があれば、追加的優遇の適用が考慮される。

しかし、グローバル市場向け輸出志向型の製造業は外資への依存度が高まる中、他のASEAN先発国と比較して、国内における産業振興政策が弱いと指摘される。貧困対策・雇用創出の一環として製造業振興の機運が高まり、自動車産業振興を目的とした包括的自動車産業振興戦略(CARS)プログラムが2015年12月に始まった。輸出志向型産業の核である電気・電子産業についても、産業高度化を見据えて、小規模ながら具体的な取り組みが新たに始まろうとしている。

例えば、フィリピン科学技術省(DOST)では、電気・電子産業における回路設計技術者など高度技術者育成の取り組みを数年前から行っている。DOST傘下のフィリピン集積回路研究所(PIIC)が主導する回路設計技術者養成プログラムは、フィリピン大学、アテネオ大学、デラサール大学、マプア大学などフィリピンを代表する国立・私立大学が参加する官学連携事業で、400人以上の卒業生を輩出している。

官学の連携で技術者を育成

さらに、在大阪フィリピン総領事館商務部外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、マニラ首都圏で6月21~23日に開催される「フィリピン半導体・電子産業見本市(PSECE)」に合わせた産業ミッションを計画している。同商務部代表のエレバド商務参事官によると、本ミッションは電気・電子関連企業を幅広くというよりは、プリント基板(PCB)や集積回路(IC)設計など特定分野に絞っている点が特徴だという。貿易産業省(DTI)は、出展企業との商談機会に加え、前述の高度技術者育成に関わる関係機関、プログラムに参加する有力大学、学生、卒業生との接点を無償で提供するという。

これまで課題となっていた同養成プログラムの認知度向上や、高度人材と内外企業とのマッチングを強化するのが狙いだ。エレバド氏は「回路設計の技術者は、日本をはじめとする先進国で人材確保が難しくなると予測される」とし、フィリピンの人的資源が量の面のみならず質と内容の面でも貢献できると期待する。さらに、「今回のように分野を絞ったミッション派遣はDTIとして過去10年間で恐らく初めての試みだ。これを終点とせず出発点として、継続的、発展的な取り組みを行うことが重要だ」と語った。高度人材育成を含めた取り組みは、フィリピン政府による産業振興の新しい方向性として今後の展開が注目される。

(安藤智洋)

(フィリピン)

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