CIS諸国で初、テーマは「未来のエネルギー」-アスタナ国際博が開幕(1)-

(カザフスタン)

展示事業部アスタナ博覧会チーム

2017年06月29日

「2017年アスタナ国際博覧会」が6月10日に開幕した。開幕初日の来場者は2万2,000人、日本館へも6,000人に上った。「未来のエネルギー」をテーマに、各国がエネルギーに関する課題解決に向けた提案をする。今回の国際博の狙いやビジネス界の反応を2回に分けて報告する。

エネルギー課題に貢献できる日本を発信

2017年アスタナ国際博覧会は「未来のエネルギー」をテーマに、6月10日から9月10日まで93日間にわたってカザフスタンの首都アスタナで開催される。主催者によると、参加国・機関は115カ国・22国際機関に上る。ロシア・CIS諸国で初めて開催される国際博覧会で、カザフスタン側の説明によると、博覧会の建造物は会期後に国際金融センターになる。日本は経済産業省を幹事省、文部科学省、国土交通省、環境省を副幹事省、ジェトロを参加機関として日本館を出展している。

日本館のテーマは「Smart Mix with Technology~オールジャパンの経験と挑戦~」。日本がエネルギーに関する課題を解決するために講じてきた挑戦や経験を、大型シアターや体験型ゲームの展示などで来館者に訴える。そして、高い技術力と世界のエネルギーの課題解決に貢献できる日本を発信する。

写真 開館直後の日本館(日本館提供)

博覧会開幕に合わせ、日本館の開館式も行われた。経済産業省の小瀬達之大臣官房審議官(商務流通・国際博覧会担当)が冒頭あいさつで、アスタナ国際博覧会は人類が抱えるエネルギー課題に対して各国が解決策を提示するものだとした上で、「経済成長を続けながらも、資源に乏しい日本が取り組んできた日本ならではの知恵や技術、経験、未来に向けた技術開発への挑戦を、日本館を通して発信したい」と述べた。

中村富安日本政府代表は日本館のテーマの「Smart Mix」について、「2つの意味が込められている。1つ目はさまざまなエネルギー源を『Mix』して使うこと、2つ目はエネルギーを『作る』技術に加えて省エネ技術などの『使う』技術を『Mix』することだ。この2つの『Mix』を、世界のエネルギー課題解決に向けた日本ならではの解決策として提案する」と説明した。

カザフスタンが描くエネルギー像を紹介

開催国であるカザフスタン館は、会場の中央に設置された直径80メートル、高さ100メートルの球体だ。8階建てで、1階は主にカザフスタンの紹介、2階から7階まではフロアごとに水力、人力(運動)、バイオマス、風力、太陽光、宇宙エネルギーといった「未来のエネルギー」を展示してある。

「未来のアスタナ」と銘打った最上階の8階は、来場者に未来のエネルギーの在り方を問い掛けるフロアで、カザフスタンの考える未来のエネルギー像が展示されている。例えば、省エネの重要性を訴えるコーナーでは「今まで使ったエネルギー量について考えたことがありますか」という問い掛けから始まり、省エネのためにできる身近で基本的なことをゲーム形式で理解できる。また、エネルギーミックスについては、普遍的で簡単な答えはないとしつつ、「現時点では世界のエネルギー供給の5%を占める再生可能エネルギーの割合を増やすことで、石油や石炭、天然ガスの利用を革新的に減らすべきだ」と訴えている。

 写真 会場内のカザフスタン館(日本館提供)

主催者によると、会期中に500万人の来場者が見込まれ、そのうち85%はカザフスタン国内からと予想されている。報道によると、入場券は既に120万枚が販売されたという。

(一瀬友太)

(カザフスタン)

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