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製造業の中心地、ミッドランドやバーミンガムの投資環境を紹介-「英国進出セミナー」を東京で開催-

(英国)

欧州ロシアCIS課

2017年06月08日

ジェトロは5月15日、在日英国大使館、投資機関ビジネス・バーミンガムと、来日したリアム・フォックス国際通商相を迎えて、東京で「英国進出セミナー」を開催した。セミナーでは、英国がEU離脱(ブレグジット)後もビジネスにオープンであることが示され、ブレグジット交渉に関する情報とともに、オペレーションコストやアクセス面で優れたミッドランド地域およびバーミンガムの主要産業と投資環境について講演があった。

EU離脱後も英国はビジネスにオープン

ジェトロの石毛博行理事長は冒頭あいさつで、「現在、1,021社の日本企業が英国に進出している。バーミンガムを中心とするミッドランドは英国産業の中心であり、数多くの日本企業が進出している」と述べ、ブレグジットについては「英国のEUや日本との経済関係に不安を抱くかもしれないが、英国は世界でも交渉に長けており、納得感のある合意を実現できると期待している」とした。

続いてフォックス国際通商相は、「ブレグジット後も英国はビジネスにオープンだ。ブレグジットが新たなグローバルパートナーを作る機会となる」と述べ、ミッドランド地域の顕著な経済成長や交通の利便性、企業と大学による多くの研究開発、英国政府が投資機関のミッドランド・エンジンに2億5,000万ポンド(約352億5,000万円、1ポンド=約141円)を出資していることなどを紹介し、同地域は日本企業にとって投資機会があるとした。

ジェトロ・ロンドン事務所の坂口利彦所長は「ブレグジットの最新動向と英国の経済展望」について講演した。

ブレグジット交渉には「EU離脱協定交渉」と「将来の自由貿易協定(FTA)を含むパートナーシップ協定交渉」があり、英国は同時並行での協議を、EUは離脱協定交渉の終了後にFTA交渉を開始する方針で相違があるほか、離脱協定交渉においてはEU市民および英国市民の地位の保全など、双方が一致する面もあると解説。産業界は、離脱協定の交渉期限までに最終的な合意に至らずEUを離脱する可能性(クリフエッジ)を懸念している、と説明した。

6月8日に予定されている英国下院総選挙については、保守党内の一致団結や議席の過半数獲得、さらに残留派が多い地方自治政府に対する民意反映が目的との見方を示した。英国経済の今後の展開について、離脱が決定した2016年はポンド安に支えられ成長したが、2017年は第1四半期の時点で成長鈍化がみられるとしつつ、欧州全体の政治リスクが緩和したことである程度の成長は見込めると分析した。最後に英国に進出する日系企業に向けて「交渉期限は設定されているのでその節目で準備」「法律面での整理、対応の検討」「短期的にはコスト増だが、中長期的には成長分野にビジネスチャンスあり」と助言した。

豊富な人材と幅広い産業分野が魅力

ミッドランド・エンジンのマリア・マチャンコセス氏は、ミッドランドの主要産業と投資環境について説明した。

ミッドランドは18世紀末の産業革命の始まりの地で、人口1,200万人、2つの国際空港、20の大学、25のサイエンスパークがあり、有能な人材が豊富にいると紹介。また、ロンドンとバーミンガムを結ぶ高速鉄道「HS2」が2017年着工、2026年開業予定で、これによりロンドン~バーミンガム間の移動時間が現在の1時間20分から45分に短縮される予定で、鉄道建設に伴う新駅や周囲の商業施設の建設による雇用が期待されると説明した。

ミッドランドの産業は、自動車、航空宇宙、先進製造業、クリエーティブ・デジタル産業、金融および専門サービス、食料・飲料、ヘルスケア、ライフサイエンス、鉄道、再生可能エネルギーと多岐にわたり、中でも自動車産業は英国内で製造される自動車の40%を占め、近年は自動運転技術などの研究開発投資が盛んだという。デジタル産業では20万人の技術者がおり、低いオペレーションコストが魅力となり、コンピュータゲームを開発するフランスのユービーアイソフトなど世界的なブランドが集結しているという。また、ライフサイエンス分野や農業技術分野では企業と大学が連携した研究開発が活発で、近年急成長していると紹介した。

バーミンガム地域の活性化を目的とした投資機関ビジネス・バーミンガムのデビット・フィスケン氏は、バーミンガムの主要産業と投資環境について説明した。

バーミンガムは人口100万人弱の40%を25歳以下が占め、情報通信技術(ICT)やデジタルメディア産業が活発化している。また、英国内の90%の人に4時間以内でアクセスできる地理的優位性があり、ロンドンに比べてオペレーションコストも低いいため、競争力が高いと説明した。さらに、法人税免除などのインセンティブを受けられる地区「エンタープライズゾーン」を設定し、企業誘致に積極的だ。同都市でも高速鉄道「HS2」による経済効果は大きく、HS2の開業は時間短縮のみならず人や物の運搬能力を増大させる面でも有益と解説。さらに、バーミンガムには、多くのレストラン、オーケストラやバレエなどの娯楽もあり、クオリティー・オブ・ライフは非常に高く、日本企業の進出先として魅力的だと話した。

自動車分野の研究開発が盛ん

ミッドランドに進出している堀場製作所の自動車計測システム設計部長の小山聡氏は、現地のビジネス環境を説明した。同社は1953年に設立され、自動車、環境・プロセス、医用、半導体・科学など幅広い分野での分析計測機器やシステムを提供している。英国には、ホリバUK(HORIBA UK、1977年設立、注)、ホリバ・テストオートメーション(HORIBA Test Automation、2005年子会社化)、ホリバMIRA(HORIBA MIRA、2015年買収)、ホリバ・ジョバンイボンIBH(HORIBA Jobin Yvon IBH、1977年設立、2003年買収)の4つの子会社がある。

小山氏は自動車産業の投資環境について、研究開発への投資は電動自動車やIT化、自動運転技術分野が活発で、ブレグジットの不透明さはあるものの、英国政府が投資支援プログラムを決定し、メーカーの投資意欲は旺盛との見方を示し、バーミンガムは人材が豊富で企業と大学の連携も多いため、研究開発が活発だと解説した。

(注)旧ホリバ・インスツルメンツ(HORIBA INSTRUMENTS)の設立年。

(鵜澤聡)

(英国)

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