天津市、最低賃金を7月1日から5.1%引き上げ-上海市、深セン市に次ぐ月額2,050元に-

(中国)

北京発

2017年06月29日

天津市人力資源・社会保障局は7月から最低賃金を月額2,050元(約3万2,800円、1元=約16円)に引き上げると発表した。上海市(2,300元)、広東省深セン市(2,130元)に次いで2,000元を上回る高い水準となったが、上昇率は5.1%と4年連続で低下している。

上昇率は4年連続で低下

天津市人力資源・社会保障局によると、7月1日から天津市の最低賃金を月額1,950元から2,050元に引き上げる。1時間当たりの最低賃金は11.2元から11.8元となり、パートタイム労働者の時間最低賃金も19.5元から20.8元に引き上げられた。

中国新聞網によると、6月14日時点で天津市、上海市、深セン市、陝西省、山東省、青海省、福建省の7省市が最低賃金を改定し(発表を含む)、そのうち上海市(2,300元)、深セン市(2,130元)、天津市が2,000元を超えたという。しかし、天津市の最低賃金の上昇率は前年を下回る5.1%で、上昇率は4年連続で低下している(図参照)。

図 天津市の最低賃金と上昇率の推移

中国では近年、所得格差の是正と消費主導型経済への移行を目指し、最低賃金が大幅に引き上げられてきたが、経済の「新常態」の下で人件費上昇による企業負担が増大し、ASEANなどコストの低い地域への移転が加速することを懸念する声が聞かれる。2016年7月8日の国務院の政策ブリーフィングで人力資源・社会保障部の信長星副部長は、経済が減速している中で最低賃金を引き上げ続けることは、中国の製造業の競争力に影響を及ぼすのではないかとの記者の質問に対して、競争力を維持するために最低賃金改定の頻度と上昇幅を適宜調整すべきだとしていた。

実際、企業の人件費の負担増に配慮した最低賃金引き上げ政策が取られるようになっており、同部によると、2016年に最低賃金を改定したのは北京市、天津市、河北省、遼寧省、上海市、江蘇省、山東省、海南省、重慶市の9省市のみだった。また、2017年に最低賃金の改定を行った前述の7省市のうち、福建省と陝西省は2016年には改定しておらず、青海省は2014年以来3年ぶりの引き上げだった。

(張敏)

(中国)

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