山東省が最低賃金を改定、前年比5.8%の上昇

(中国)

青島発

2017年06月16日

山東省は5月26日、法定最低賃金の改定を発表した。月額最低賃金は前年比5.8%上昇し、省都の済南市、青島市などを含む1類地域では1,810元(約2万8,960円、1元=約16円)となった。上昇率は前年を下回り、過去最低水準となった。また、2017年の賃金ガイドラインも併せて発表され、賃金上昇率の下限値を3.0%、基準値を7.5%、上限値を12.0%と設定した。

最低賃金引き上げ率は過去最低水準

山東省政府は5月26日、2017年の最低賃金の改定値および2017年の賃金ガイドラインを発表した。改定後の月額最低賃金は、1類地域が1,810元、2類地域が1,640元、3類地域が1,470元に、1時間当たりの最低賃金(時給)は1類地域が18.1元、2類地域が16.4元、3類地域が14.7元となった(表1、表2参照)。1~3類いずれの地域も上昇率は前年比5.8%上昇と、過去最低の伸び率となった。当該基準は2017年6月1日から実施された。

表1 山東省の法定最低賃金(単位:元、%)
類別 月給 時給
2016年
6月1日~
2017年
6月1日~
上昇率 2016年
6月1日~
2017年
6月1日~
上昇率
1類地域 1,710 1,810 5.8 17.1 18.1 5.8
2類地域 1,550 1,640 5.8 15.5 16.4 5.8
3類地域 1,390 1,470 5.8 13.9 14.7 5.8

(出所)山東省政府

表2 1類地域の月額最低賃金の推移(単位:元、%)
施行日 改定後賃金 上昇率
2011年3月1日 1,100 19.6
2012年3月1日 1,240 12.7
2013年3月1日 1,380 11.3
2014年3月1日 1,500 8.7
2015年3月1日 1,600 6.7
2016年6月1日 1,710 6.9
2017年6月1日 1,810 5.8

(出所)山東省政府

青島市では、1類地域と2類地域の改定値が適用される(表3参照)。月額最低賃金は6区(市南区、市北区、李滄区、労山区、黄島区、城陽区)では1類基準の1,810元、4市(膠州市、即墨市、平度市、莱西市)では2類基準の1,640元となり、最低時給はそれぞれ18.1元、16.4元となる。

表3 青島市の最低賃金(単位:元)
地区 対象地域 月給 時給
6区(1類) 市南区、市北区、李滄区、労山区、黄島区、城陽区 1,810 18.1
4市(2類) 膠州市、即墨市、平度市、莱西市 1,640 16.4

(出所)山東省政府

山東省は1994年からこれまで最低賃金を15回改定しており、2010年からは毎年1回改定してきたが、伸び率は年々低下している。今回の改定により、月額最低賃金は上海市(2,300元)、天津市(1,950元)、広東省(1,895元)、北京市(1,890元)、浙江省(1,860元)に続き、全国6番目となり、最低時給は北京市(21元)、上海市(20元)、天津市(19.5元)、広東省(18.3元)に次ぐ5番目となった。

賃金ガイドラインの基準値も最低水準の伸び

また、山東省政府は5月26日、賃金ガイドラインを発表した。賃金ガイドラインは、強制力はないものの賃上げの参考値として政府が発表しており、今回で19年連続の発表となった。2017年の賃金ガイドラインは、賃金上昇率の下限値を3.0%、基準値を7.5%、上限値を12.0%と設定している(表4参照)。政府は、過去最低水準となった設定の根拠として、下限値が2017年の山東省の消費者物価指数(CPI)上昇率目標値、基準値が域内総生産(GRP)成長率の目標値と同じとし、上限値は2017年の経済状況および企業の経営状況を考慮し、2016年の13%から1ポイント引き下げたと説明している。

表4 山東省の賃金ガイドラインの推移(単位:%)
下限値 基準値 上限値
2010年 6.5 15.0 15.0
2011年 6.5 15.0 23.0
2012年 6.0 15.0 23.0
2013年 6.0 15.0 22.0
2014年 4.0 12.0 22.0
2015年 4.0 10.0 20.0
2016年 3.0 8.0 13.0
2017年 3.0 7.5 12.0

(出所)山東省政府

(魯寅萍)

(中国)

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