上海市、社会保険納付基準額を9.5%引き上げ-企業負担の保険料率は一部引き下げー

(中国)

上海発

2017年06月08日

上海市の2017年度(2017年4月~2018年3月)社会保険納付基準が発表された。企業負担の保険料率は2年連続で引き下げられたが、納付基準額の伸び率が近年拡大(2017年度は9.5%)しているため、企業の実質負担額は減少していない。同市は今回、初めてWeChat(微信)などのSNSを活用した情報発信を行い、公式サイトでの公表を実施しなかった。

納付基準額の伸び率は拡大傾向

上海市人力資源・社会保障局は5月11日、2017年度の社会保険料(養老、医療、失業、生育、労災)料率と納付基準額を公表した(表参照)。納付基準額の下限額は339元増の3,902元(約6万2,432円、1元=約16円)、上限額は1,695元増の1万9,512元に改定され、いずも前年度比9.5%引き上げられた。前年度比の伸び率は2014年が7.3%、2015年が8.2%、2016年が9.0%と推移し、拡大傾向がみられる。

表 上海市の社会保険負担一覧表(2015~2017年度)(単位:%)
保険
種別
個人負担の
保険料率
企業負担の保険料率
2015年度 2016年度 2017年度
養老 8.0 21.0 20.0* 20.0
医療 2.0 11.0 10.0* 9.5*
失業 0.5 1.5 1.0* 0.5*
生育 1.0 1.0 1.0
労災 0.5 0.2~1.9 0.2~1.9
合計 10.5 35.0 32.2~33.9 31.2~32.9
表 上海市の社会保険納付基準額(2015~2017年度)(単位:元/月)
2015年度 2016年度 2017年度
3,271~16,353 3,563~17,817 3,902~19,512

(注)年度は4月1日から翌年の3月31日まで。ただし、*は1月1日から実施。
(出所)上海市人力資源・社会保障局発表

個人の納付基準額は本人の前年の実収入の月平均額となるが、月平均額が下限額を下回った場合は下限額、上限額を超えた場合は上限額がそれぞれ納付基準となる。下限額と上限額は、それぞれ上海市の前年度従業員平均賃金の6割と3倍の額に設定されている。ちなみに、2016年度の上海市従業員平均賃金は年額で7万8,045元、月額で6,504元だった。

上海市人力資源・社会保障局は同時に、企業負担の医療保険と失業保険の保険料率の調整も2年連続で行った。医療保険は1月1日にさかのぼって0.5ポイント減の9.5%に引き下げられたほか、失業保険も1月1日にさかのぼり、2018年4月まで半減の0.5%となる。なお、個人負担の保険料率は従来と変わらない。

加入者の社会保険負担額は、納付基準額に保険料率を掛けて算出される。2017年度の企業最低負担額は月額1,217元で、2016年の1,147元を上回った。

社会保険などの情報発信にもSNSを活用

上海市政府はミニブログサービス(微博)や、チャットアプリのWeChat(微信)を活用した情報発信を強化している。社会保険などに関する情報は、これまで同市の人力資源・社会保障局の公式サイトに掲載されてきたが、今回は上海市政府のSNS公式アカウント「上海発布」での公表にとどまった。上海発布では各種通達のほか、役所手続きのオンライン受け付けなど利便性が高く、利用者が急拡大している。

(劉元森)

(中国)

ビジネス短信 81723899a12c2851